1988年11月15日発売

コプルストン
理性論の哲学 上巻

小坂 国継 訳
岡部 英男 訳

A5判 箱入り上製カバー装  262頁
定価:本体2,719円+税
ISBN 4-7531-0144-4 C0010
※箱は多少汚れがあります。(中身は綺麗です)
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デカルトの心身二元論により近代哲学は一人歩きを始める。だが、それですべてが解決されたわけではなく、「天才の世紀」はその残された問題の探求にあたらねばならない。理性論の展開を平明かつ詳細に論じる本書によって、科学にもとづく新たな世界像を模索するプロセスが見事に現出される。
下巻では、デカルト学派からライプニッツまでをおさめる。コプルストンの『哲学史』は、その博識と、公正さと、透徹した史観でもって定評があるが、本書においてもその長所がいかんなく発揮されている。本書は、正確には一七世紀のヨーロッパ大陸における哲学とその潮流を概説したものでる。したがって、デカルト、スピノザ、ライプニッツという三人の偉大な理性論者の思想のほかに、パスカルとマルブランシュの思想が、それぞれ独立した章のもとに叙述されている。
きわめて長い序論においては、コプルストンはまず、中世哲学と近世哲学との間の連続面と断絶面を剔出する作業をとおして、近世哲学の課題と本質とを明らかにし、次いで近世哲学の二大潮流である大陸理性論とイギリス経験論の本質とその発展、さらには一七世紀と一八世紀の思想の他の側面と特質およびその異同を論じ、最後にカント哲学への移りゆきを論じている。ここには、コプルストンの明澄な哲学史観が平易・明快に語られている。われわれは、この序章で、中世哲学からカント哲学までの西洋の思想の流れを一望のもとに見渡すことができる。
また、第二章から第一八章までは、上記の五人の思想家の思想を個別にあつかている。序論が「総論」とすれば、この各章は「各論」にあたるが、それは、一読すれば解るように、専門的な内容にまで立ち入って詳細に論じたもので、単なる哲学史的叙述という枠組みを越えた、一種の個々独立した解説書、否むしろ研究書といった性格をも併せもっている。したがって、ここで、われわれは哲学の単なる歴史的展開でも、また単なる個別的研究でもなく、一つの明徹かつ公平な視点のもとに位置づけられた個々の思想家の思想を精細に知ることができる。その該博な知識と深長な洞察にはただただ驚嘆するばかりである。今日、コプルストンの『哲学史』が、今世紀のスタンダードな哲学史であるという評価をうけているゆえんであろう。
                                      (本書あとがきより)

【目次】
第一章 序論
 1 連続と革新:中世およびルネサンスの思想との関連における
           近世哲学の初期の局面
 2 大陸理性論:その本質、懐疑論と新ストア主義に対する関係、発展
 3 イギリス経験論:その本質と発展
 4 一七世紀
 5 一八世紀
 6 政治哲学
 7 歴史哲学の生成
 8 イマヌエル・カント
第二章 デカルト(1)
 1 生涯と著作
 2 デカルトの意図
 3 方法の観念
 4 生得観念の理論
 5 方法的懐疑
第三章 デカルト(2)
 1 コギト・エルゴ・スム
 2 思惟と思惟者
 3 真理の基準
 4 神の存在
 5 循環論法の非難
 6 語謬の説明
 7 数学の確実性
 8 神の存在の存在論的証明
第四章 デカルト(3)
 1 物体の存在
 2 実体とその主要な属性
 3 精神と身体との関係
第五章 デカルト(4)
 1 物体の性質
 2 デカルトと実体変化の教義
 3 空間と場所
 4 運動
 5 持続と時間
 6 運動の起源
 7 運動法則
 8 世界における神の活動
 9 生きた身体
第六章 デカルト(5)
 1 人間の自由の自覚
 2 自由と神
 3 暫定的倫理と道徳の学
 4 情念とその支配
 5 善の本性
 6 デカルトの倫理的諸観念についての注解
 7 デカルトについての一般的見解
第七章 パスカル
 1 パスカルの生涯と精神
 2 幾何学的方法、その範囲と限界
 3 「心情」
 4 弁証論におけるパスカルの方法
 5 人間の悲惨と偉大
 6 賭の議論
 7 哲学者としてのパスカル
原注
訳注
 

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