1990年12月10日発売

コプルストン
理性論の哲学 下巻

小坂 国継 訳
岡部 英男 訳

A5判 箱入り上製カバー装  261頁
定価:本体2,816円+税
ISBN 4-7531-0158-4 C0010
※箱は多少汚れがあります。(中身は綺麗です)
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デカルトの心身二元論により近代科学は一人歩きを始める。だが、それですべてが解決されたわけではなく、「天才の世紀」はその残された問題の探求にあたらねばならない。理論の展開を平明かつ詳細に論じる本書によって、科学にもとづく新たな世界像を模索するプロセスが見事に現出される。下巻では、デカルト学派からライプニッツまでをおさめる。

デカルトの心身二元論により近代哲学は一人歩きを始める。だが、それですべてが解決されたわけではなく、「天才の世紀」はその残された問題の探求にあたらねばならない。理性論の展開を平明かつ詳細に論じる本書によって、科学にもとづく新たな世界像を模索するプロセスが見事に現出される。
下巻では、デカルト学派からライプニッツまでをおさめる。コプルストンの『哲学史』は、その博識と、公正さと、透徹した史観でもって定評があるが、本書においてもその長所がいかんなく発揮されている。本書は、正確には一七世紀のヨーロッパ大陸における哲学とその潮流を概説したものでる。したがって、デカルト、スピノザ、ライプニッツという三人の偉大な理性論者の思想のほかに、パスカルとマルブランシュの思想が、それぞれ独立した章のもとに叙述されている。
きわめて長い序論においては、コプルストンはまず、中世哲学と近世哲学との間の連続面と断絶面を剔出する作業をとおして、近世哲学の課題と本質とを明らかにし、次いで近世哲学の二大潮流である大陸理性論とイギリス経験論の本質とその発展、さらには一七世紀と一八世紀の思想の他の側面と特質およびその異同を論じ、最後にカント哲学への移りゆきを論じている。ここには、コプルストンの明澄な哲学史観が平易・明快に語られている。われわれは、この序章で、中世哲学からカント哲学までの西洋の思想の流れを一望のもとに見渡すことができる。
また、第二章から第一八章までは、上記の五人の思想家の思想を個別にあつかている。序論が「総論」とすれば、この各章は「各論」にあたるが、それは、一読すれば解るように、専門的な内容にまで立ち入って詳細に論じたもので、単なる哲学史的叙述という枠組みを越えた、一種の個々独立した解説書、否むしろ研究書といった性格をも併せもっている。したがって、ここで、われわれは哲学の単なる歴史的展開でも、また単なる個別的研究でもなく、一つの明徹かつ公平な視点のもとに位置づけられた個々の思想家の思想を精細に知ることができる。その該博な知識と深長な洞察にはただただ驚嘆するばかりである。今日、コプルストンの『哲学史』が、今世紀のスタンダードな哲学史であるという評価をうけているゆえんであろう。
                                      (本書あとがきより)

【目次】
第八章 デカルト学派
 1 デカルト学派の広がり
 2 ゲーリンクスと相互作用の問題
第九章 マルブランシュ
 1 生涯と著作
 2 感覚、想像力、知性:誤謬の回避と真理への到達
 3 唯一の真の原因としての神
 4 人間の自由
 5 永遠真理を神のうちに観ること
 6 魂の経験的認識
 7 他の精神の認識と物体の存在の認識
 8 神の存在と属性
 9 マルブランシュのスピノザ、デカルト、バークリに対する関係
 10 マルブランシュの影響
第一〇章 スピノザ (1)
 1 生涯
 2 著作
 3 幾何学的方法
 4 スピノザの思想に他の哲学が与えた影響
 5 スピノザ哲学の諸解釈
第一一章 スピノザ (2)
 1 実体とその属性
 2 無限様態
 3 有限様態の産出
 4 精神と物体
 5 目的原因の排除
第一二章 スピノザ (3)
 1 スピノザの認識の諸段階ないし程度
 2 混乱した経験、普遍的概念、誤謬
 3 科学的認識
 4 直観的認識
第一三章 スピノザ (4)
 1 人間の感情と行為の説明におけるスピノザの意図
 2 コナトゥス:喜びと悲しみ
 3 派生的感情
 4 受動的感情と能動的感情
 5 隷属と自由
 6 神に対する知的愛
 7 人間精神の「永遠性」
 8 スピノザの倫理学における矛盾
第一四章 スピノザ (5)
 1 自然権
 2 政治的社会の基礎
 3 主権と統治
 4 国家間の関係
 5 自由と寛容
 6 スピノザの影響と、彼の哲学に対する多様な評価
第一五章 ライプニッツ (1)
 1 生涯
 2 『結合法論』と調和の観念
 3 著作
 4 ライプニッツ思想の種々の解釈
第一六章 ライプニッツ (2)
 1 理性の真理と事実の真理の区別
 2 理性の真理あるいは必然的命題
 3 事実の真理あるいは偶然的命題
 4 完全性の原理
 5 実体
 6 不可識別者の同一性
 7 連続性の法則
 8 ライプニッツの〈汎論理主義〉
第一七章 ライプニッツ (3)
 1 単純実体あるいはモナド
 2 エンテレケイアと第一質料
 3 延長
 4 物体と物体的実体
 5 空間と時間
 6 予定調和
 7 表象と欲求
 8 魂と身体
 9 生得観念
第一八章 ライプニッツ (4)
 1 存在論的証明
 2 永遠真理による神の存在証明
 3 事実の真理からの証明
 4 予定調和からの証明
 5 悪の問題
 6 進歩と歴史
原注
訳註
訳者あとがき
索引
 

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