1995年01月25日発売

若き荷風の文学と思想

鈴木 文孝 著

四六判 箱入り上製カバー装  254頁
定価:本体2,234円+税
ISBN 4-7531-0177-0 C0010
※箱は多少汚れあり。(中身は綺麗です)
※全国の書店からお取り寄せが出来ます。


日本の近代化について、主に永井荷風(本名は、永井壯吉)の作品に即して考察してみたい。荷風には、『あめりか物語』、『ふらんす物語』、『西遊日誌抄』という三篇の有名な外遊記がある。本書における主題の一つは、『あめりか物語』、『ふらんす物語』を中心に、荷風の外遊について考察することである。また、荷風の外遊記及び彼の小説『帰朝者の日記』の考察を通して、彼の文明批評の本質を明らかにすることも、本書における主題の一つである。
荷風は、極言すれば、気ままに青年期を生きた。しかし、彼は、文学者になるという確固たる意志をもっていた。彼の青年期の体験は、すべての彼の文学作品に活かされている。結果から見れば、彼ほど青年期を有効に過ごした人物はいないのではなかろうか。ライフサイクルの見地から見れば、彼の青年期は長かった。しかし、E・H・エリクソンのいう「モラトリアム」は、荷風には関係なかった。文学者になるという堅固な意志によって、彼は、E・H・エリクソンのいう「自我同一性」を確立していた。
                                          (本書序より)

【目次】

凡例
引用文献
第一章 研究の方法
第二章 近代日本における西洋文明の摂取
 第一節 日本文学の近代化
 第二節 福沢諭吉と英学
 第三節 若き荷風――慶應義塾大学部教授就任まで
 第四節 明治文明に対する荷風の見方
第三章 『あめりか物語』、『ふらんす物語』の考察に先立って
 第一節 永井禾原のアメリカ合衆国遊学
 第二節 『小説 夢の女』――荷風の外遊記と比較して
第四章 『あめりか物語』の世界
 第一節 渡米
 第二節 女性像
 第三節 オペラ
 第四節 風俗描写
 第五節 フランス遊学への道
第五章 『ふらんす物語』の世界
 第一節 渡仏
 第二節 『脚本 異郷の恋』について
 第三節 『放蕩』について
 第四節 女性像
 第五節 『晩餐』に描かれている在仏日本人
 第六節 芸術観
 第七節 『巴里のわかれ』について
 第八節 音楽観
 第九節 『砂漠』について
 第十節 『悪寒』について
第六章 「新帰朝者」荷風
第七章 隅田川慕情
 第一節 隅田川
 第二節 隅田川慕情
第八章 若き荷風の文学観
結び 倫理思想史的考察 
 

HOMEへ戻る