1998年05月28日発売

アルノ・バルッツィ
法哲学の根本問題
自由・法・公共の福祉

河上 倫逸 監訳
嶺 秀樹 監訳

A5判 箱入り上製カバー装  208頁
定価:本体4,300円+税
ISBN 4-7531-0178-9 C3010
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パルッツィの法哲学上の問いは開かれた問いであり、かつその解は未完である。自然の全体や人類、政治的共同体としての世界に妥当する法をいったい誰が与えうるのか、そもそもそれが可能なのか、可能だとしてもどのようにしてそれは創造されるのかということがいまだ明確でないからである。パルッツィ自身も、法共同体の代表者を国家権力のうちに見いだすべきだとはしているのだが、そうした権力を構成する者がはたして公共の福祉、それも世界の公共の福祉のために尽力しているかどうかは定かではない、と考えている。いずれにせよ、国内的にも、また国外的にも多様な民族、多様な文化が出会い、利害関係が錯綜している現代世界にあっては、世界レヴェルでの法共同体を含めて、その確率は緊急の課題である。法という枠組みのうちで、多様なものが出会い、対話し、場合によっては争うことが可能となるからである。だから、一つの「世界」のうちですら「多様な世界」が共存することが避けられないような現代においては、「法」は生存のための一種の必要条件として考えられねばならないだろう。この意味でも、パルッツィの思想はわれわれに多くの示唆を与えてくれる。
                                       (本書あとがきより)

【目次】
序言
第一章 序論――自由、法、公共の福祉
 1 自足(アウタルキー)と公共の福祉
 2 自律と権利
 3 自由、権利、公共の福祉
第二章 人間と法 
 1 人間、法、国家
  a 民主主義と法
  b 人間と法
  c 人権
  d 法と文化
 2 人間の自律と自己意識
  a 法哲学(ヘーゲル)
  b 主観-客観-関係における意識の自由
  c 法の法則(自然の法則-法の法則-制定法としての法)
  d 科学と法における相対性と可変性
  e 自律と憲法
第三章 自由主義的人権と社会的人権――法の分化と階層化
 1 権利と占有
  a 労働権
  b 労働と財産
  c 権利、占有および資産
 2 権利の区分と階層化
  a 権利の地位
  b 効力
  c 基本権――憲法上の権利
第四章 アイデンティティと占有
 1 法と学における同定
 2 複合事象と原因―結果の思考図式
 3 自己作動
 4 同定と占有
 5 占有、同一性、法
第五章 法治国家
 1 憲法としてのドイツ連邦共和国基本法
 2 ポリティアと近代の立憲国家
 3 占有者国家および権利占有国家
 4 権力国家と法治国家
 5 法治国家憲法における法規範化と訴証手続き
 6 法治国家的な規範統制手続き
 7 基本権と憲法上の権利
第六章 法共同体
 1 基本法第二条の自由主義国家的解釈と基本権的解釈
 2 基本法第二条の憲法上の権利による解釈と社会国家的解釈
  a 人倫法則と人倫
  b 憲法規範と憲法の現実
 3 国家、政治的共同体、自然
  a 政治的請求権
  b 国家の福祉・公共の福祉・自然の福祉
  c 法的共同体の諸機関
 4 法律
 5 「理性への自由と尊厳」?
第七章 機械の相のもとにおける法
 1 コンピューター処理とその計算に基づく法
 2 機械化
 3 機械――実現可能性
 4 法制化
  a 永遠の相のもとにおける法と人間の相のみとにおける法
  b 法的規範化
  c 規範化――限定および根拠づけ
 5 法――人間のための規範あるいは機械性の規範
あとがき
参考文献
パルッツィの実践哲学、法哲学の今日的意味――訳者後記
人名索引
 

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