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  1999年12月01日発売

以文叢書 C
人類進化再考
社会生成の考古学

黒田 未寿 著

四六判 上製カバー装  310頁
定価:本体2,800円+税
ISBN 4-7531-0210-6 C0040  
       〈ダーウィン以来の人間中心の進化思想を突き崩す〉

人間とチンパンジー属との食物分配の透徹した生態的参与観察から、食べ物を持っている者が〈与える―与えない〉という葛藤の末〈欲求の断念〉をする場面に〈自―他〉意識の萌芽をみる。この場面こそ社会が生成する原初の風景である。

ダーウィン以来の進化思想は、「人間」がいかに進化したかに関心を集中して発展してきました。その背後には、人間はいかに他の動物と違うかという、人間のアイデンティティの探求が負荷されています。本書はチンパンジー属の食物分配の観察からこの考えに反証します。

【著者紹介】
黒田 未寿 (くろだ すえひさ)
1947年岡山県生まれ。1971年京都大学理学部卒業。1981年理学博士。1982年「ピグミーチンパンジー――未知の類人猿 (筑摩書房)によって第34回読売文学賞受賞。京都大学理学部助手・助教授を経て、現在滋賀県立大学人間文化学部教授。1974年から87年にかけてコンゴ民主共和国(旧ザイール)のワンパにてピグミーチンパンジーを調査、89年からコンゴ民主共和国、ガボン共和国にてチンパンジーとゴリラを調査中。
著書:『新版 ピグミーチンパンジー――未知の類人猿』(以文社)、『人類の起源と進化』(共著、有斐閣)などがある。

【目次】

1 類人猿がともに生きている意味
2 チンパンジー属の食物分配の再評価
3 〈自制〉と〈欲求の断念〉
4 チンパンジーの暴力とピグミーチンパンジーの依存
5 家族の起源前論からの脱却

T 類人猿との出会い
1 ピグミーチンパンジーと見つめ合う
2 森の思考
3 フィールドワークの僥倖
4 内なる類人猿

U 隣人の発見
1 チンパンジーと人間
2 チンパンジー研究の開始
3 チンパンジーの心の発見
4 チンパンジー社会の発見
5 どこまでも似ている
6 子殺し
7 戦争文化複合
8 新たな隣人
9 チンパンジーのなかの人間

V 分かち合いの風景T――類人猿社会
1 食物を分かち合うピグミーチンパンジー
2 乞われる者の葛藤
3 〈乞う-乞われる〉関係
4 物乞いのテクニック
5 食物の取合いと所有関係
6 チンパンジーの食物分配
7 分配の道具論と社会論

W 分かち合いの風景U――人間社会
1 食物の社会性
2 共同体のなかの分かち合い
3 分配の楽しさ
4 我欲の克服
5 所有と分配
6 分配の統御
7 自然から文化への飛躍と食物分配

X 食物分配の出現=社会進化上の革命
1 人類進化論の食物分配――制度論の欠如
2 平等社会論による位置づけ
3 社会化された食行為
4 〈もの〉による社会関係の表現
5 主体的行為としての分配=自由意志の発生
6 価値の発生と多元性
7 所有の発生
8 欲求の断念と自己の客観視

Y 自己意識と他者理解
1 鏡を使って身繕いする
2 自己の見え姿を想像できるか
3 〈身動きならない自制〉と〈操作的鏡映像理解〉
4 だまし
5 同情と同調
6 他者の楽しみを楽しむ
7 他者間の関係認知

Z 食物分配のダイナミクス――制度化直前の社会まで
1 チンパンジー属と互酬性
2 同盟関係と互酬性――行為の交換
3 共同作業と気前のよい分配
4 分配の役割交換と〈お返し〉
5 秩序維持の食物分配
6 脱秩序の食物分配
7 協力とコムニタス的食物分配
8 とコムニタス的食物分配+秩序維持型食物分配≒互酬性?
9 欲求の断念の共有とチンパンジーの限界
10 カンジ、共感の進化の再現
11 一致感覚の表明と互酬性

[ 進化社会学と制度論の展望
1 家族の起源論における制度
2 行動から制度をみる
3 言語なしの制度は可能か
4 不完全な形式、滅んだものの評価

あとがき
参考文献  
 

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