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   2001年07月12日発売

以文叢書 ⑥
「帝国」の文学
戦争と「大逆」の間

絓 秀実 著

四六判 上製カバー装 368頁
定価:本体3,200円+税
ISBN 4-7531-0216-5 C0095
藤村、花袋、荷風、鷗外、漱石から中上健次にいたる天皇制の文学的側面。日露戦争で高揚したナショナリズムと、それによって析出された〈個〉=市民意識のダイナミズムを、日本自然主義と「大逆」事件のあいだに読む。

本書は、日露戦争の勝利によって高揚したナショナリズムがもたらした自然主義=天皇制の問題系に沿って、藤村、花袋、荷風、鷗外、漱石など作家と作品を通して展開した、挑発としての日本近代文学史です。ことに「修善寺の大患」を天皇制と結びつけて論じた「漱石と天皇」は、大いに論争の的になるでしょう。中上健次『地の果て 至上の時』に刺激されて構想された本書は、昨今の国民国家論やポストコロニアルの問題関心が避けて通れない確信的な問題提起です。

【著者紹介】
絓 秀実 (すが ひでみ)
1949年生まれ。学習院大学中退。文藝評論家。
著書:『花田清輝――砂のペルソナ』(講談社)、『メタクリティーク』(国文社)、『複製の廃墟』『小説的強度』(以上、福武書店)、『探偵のクリティック』『詩的モダニティの舞台』(以上、思潮社)『文芸時評というモード』(集英社)『「超」言葉狩り宣言』『日本近代文学の〈誕生〉』(以上、太田出版)『小ブル急進主義批評宣言』(四谷ラウンド)など。

【目次】
「帝国」の文学・プロローグ
第一章 「国民」というスキャンダル
       ――島崎藤村『破戒』他
 1 二つの視点
 2 世俗化と他者性のスティグマ
 3 「政治小説」としての『破戒』

第二章 「女」という非国民
       ――島崎藤村『春』、田山花袋「蒲団」他
 1 『破戒』/『蒲団』/『春』
 2 「戦士」たちの「父殺し」
 3 「生命」という美学イデオロギー
 4 「女は存在しない」

第三章 「非-真理」にいたる病
       ――田山花袋『生』、岩野泡鳴『耽溺』他
 1 「自然」イデオロギーの成立過程
 2 描写論のディレンマ
 3 詩から散文へ

第四章 「冷笑」するオリエンタリズム
       ――永井荷風「花火」『あめりか物語』『ふらんす物語』他
 1 ゾライズム脱却の課題
 2 「自然」nature「もの」
 3 マイノリティたち
 4 享楽する父

第五章 「父殺し」の二つの型
       ――田山花袋『東京の三十年』、徳田秋声『足迹』『黴』他
 1 文学的「自殺」
 2 「黴」としての父権
 3 三つの葬儀

第六章 ファルスをめぐる「大逆」
       ――石川啄木「時代閉塞の現状」、森?外「かのやうに」、幸徳秋水「墓
          督抹殺論」、菅野すが子「死出の道艸」他
 1 「大逆」事件と自然主義
 2 菅野すが子と横山芳子
 3 「王殺し」の回帰と帰結

第七章 漱石と天皇
       ――「思ひ出す事など」『彼岸過迄』『こころ』『道草』他
 1 「国民作家」の沈黙
 2 「大逆」としての修善寺の大患
 3 「彼岸」への「道草」

エピローグ、あるいは地の果てへの「道艸」
       ――中上健次『地の果て 至上の時』
 1 「国民作家」への道を閉ざす
 2 大石誠之助の末裔
 3 「王殺し」の不可能と、「違う」の一語
あとがき
注  
 

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