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   2008年02月13日発売

地獄誕生の物語

中川 文人 著

四六判 並製カバー装 208頁
定価:本体1,800円+税
ISBN 978-4-7531-0259-4 C0093 
           「地獄ってそもそも何?」「誰がみたの?」 

この素朴な疑問から出発する本書は、これまでなんとなく人々の間で共有されてきた地獄観を根底から覆す発見に満ちています。たいていの人は地獄(および天国)を、「死」という不可知な現実に対して、宗教家や民衆が想像力で作り上げた物語が、現代の「文明化された社会」にまで伝来してきたと信じているのではないでしょうか。もちろんそうした一面があることも確かです。しかし本書の著者、中川文人氏は「それだけでは地獄を説明したことにはならない」と、地獄の「起源」を探る思索に入ります。そして芥川龍之介の『地獄変』や源信の『往生要集』などの古典を手がかりにし、ついには地獄の起源となる時代を突き止めることとなります。「地獄の起源」などという荒唐稽な話に聞こえるかもしれませんが、著者本人の言葉を借りていえば、「正しい史的唯物論的方法」を用いることによって、非常に説得力のある形でそれは実証されます。この発見を梃子に、著者は創作物語(ヒバリの丘とナラクの国の運命をめぐる)『ナラクの悲劇』の執筆に取りかかり(本書に同時収録)、より普遍的な形で「地獄誕生の物語」を完成させることに成功しました。
アナーキスト思想家、矢部史郎氏が解説を書き、誰もが瞠目するに違いない「歴史の真実」に踏み込んだ、驚くべき成果といえると思います。とはいえ、本書は大仰な「歴史書」の体裁を取っているわけではなく、ときにユーモラスに、そしてときに残酷に「歴史の真実」を示唆してくれる良書に仕上がっていると思います。本書を読めば、あなたも歴史哲学者としての感性が揺さぶられることとなるでしょう。

【著者紹介】
中川 文人 (なかがわ ふみと)
1964年生まれ。作家、詩人。法政大学文学部哲学科中退、レニングラード大学中退。広告制作プロダクションを経て、1999年、有限会社ヨセフアンドレオンを設立。現在、同社代表取締役。
著書:『身近な人に「へぇー」と言わせる意外な話1000』(朝日文庫)、『数学のどこをみてるんだ!』(宝島社)、『地図を見るのが10倍楽しくなる本・国道の秘密編』(青春出版社)、『余は如何にしてイスラム教徒となりし乎』(アイピーシー)など。

【解説者紹介】
矢部 史郎 (やぶ しろう)
1971年生まれ。思想家。盟友・山の手緑との共著として『愛と暴力の現代思想』(青土社)、『無産大衆神髄』(河出書房新社)がある。『VOL』(以文社)編集委員も務める。
【目次】
まえがきにかえて
 きみは本当に地獄を見たのか

第一部 日本人の「地獄の原風景」
第一章 どうして地獄を知っているのか
第二章 地獄の古典『往生要集』の世界
第三章 地獄は戦争の記憶

地獄誕生の物語
 『ナラクの悲劇』

第二部 西洋の「地獄の古典」
第四章 ダンテの『神曲 地獄篇』
第五章 ウェルギリウスの『アエネーイス』

解説=暴力・国家・文化――矢部史郎 
 

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