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  2009年12月11日発売

ジャ・ジャンクー
「映画」「時代」「中国」を語る


ジャ・ジャンクー 著
丸川哲史・佐藤賢 訳

A5判 上製カバー装 288頁
定価:本体3,200円+税
ISBN 978-4-7531-0274-7 C0074 
            インディペンデント文化から世界への道

三峡ダム建設で水没する町を描いてヒットした『長江哀歌』の記憶も新しい中国の映画監督ジャ・ジャンクーはカンヌ、ヴェネチア、ベルリンの三大映画祭を制覇し、30代にして世界映画の未来をになう巨匠として注目されています。日本との関係も深いこの映画作家は、中国では、映画界のみならず、若い世代のアーティスト、文化人たちを唱導するオピニオンリーダーとなりつつあります。
本書は、そのジャ・ジャンクーがデビュー以来、自作や映画全般、中国文化や時代について語り書き対話した十年余にわたる全活動の集大成です。この十年余は中国社会・文化が激変した時代であり、かれの映画そして発言はその生々しい記録ともなっています。自らの全長編作品の背景や演出意図、製作過程、反響までを語りながら、「改革解放」「天安門事件」以後、国家指導のもとで急激な資本主義化とグローバリゼーションの波に呑み込まれた中国の庶民たちがどのように生きてきたか、またこれから生きていくべきかを真摯に問いかけていきます。
中国映画といえばかつてチャン・イーモウやチェン・カイコーら「第五世代」が世界の注目を浴びましたが、いまやかれらは文化官僚のようにして資本や配給網を独占、手法的にもハリウッドもどきの映画作りで若い世代を抑圧する存在となっている。それを批判し、新たに普及したデジタル機器による個人的映画作りなどインディペンダント文化の抵抗を説く急先鋒がジャ・ジャンクーなのです。
本書には、世界の巨匠ホウ・シャオシェン、新世代の旗手ツァイ・ミンリャンといった台湾の映画監督との対話のほか、ハリウッドの巨匠マーティン・スコセッシとの交流や、小津安二郎をはじめとする日本映画論なども収められており、中国や映画に興味をもつ読者はもちろん、個人的な映画作りを志す人びとにとっても必読書と言えましょう。

【ジャジャンクー作品の主な映画祭受賞歴ほか】
1998年 『一瞬の夢』ベルリン国際映画祭 ヴォルフガング・シュタウテ賞
2000年 『プラットホーム』ヴェネチア国際映画祭 最優秀アジア映画賞
     ブエノスアイレス国際映画祭 グランプリ
2002年 『青の稲妻』カンヌ国際映画祭 コンペティション部門 正式上映
     シンガポール映画祭 国際批評家連盟賞特別賞
2004年 『世界』ヴェネチア国際映画祭 コンペティション部門正式上映
2006年 『長江哀歌』ヴェネチア国際映画祭 金獅子賞グランプリ
2007年 『無用』ヴェネチア国際映画祭 最優秀ドキュメンタリー賞

【著者紹介】
ジャ・ジャンクー (賈樟柯)
1970年生まれ。中国山西省汾陽出身。1993年北京電影学院文学系入学、1995年から映画監督の仕事を始める。北京在住。
監督作品に『一瞬の夢』『プラットホーム』『青の稲妻』『世界』『長江哀歌』『四川のうた』など。

【訳者紹介】
●丸川 哲史 (まるかわ てつし)
1963年生まれ。一橋大学言語社会研究科博士後期課程単位取得退学(学術博士)。
明治大学政治経済学部准教授。専攻は東アジア文化論。
著書に『台湾、ポストコロニアルの身体』『帝国の亡霊』(以上、青土社)、『リージョナリズム』(岩波書店)、『日中一〇〇年史』(光文社新書)など。
●佐藤 賢 (さとう けん)
1975年生まれ。一橋大学大学院言語社会研究科博士課程在籍。専攻は中国文学。

【目次】
日本語版への序文 あなたに伝えたい、私の日ごと夜ごと 賈樟柯

『小山の帰郷』 一九九六年 《小山回家》
 わたしの焦点

『一瞬の夢』 一九九八年 《小武》
 『一瞬の夢』演出ノート
 シーンの決定――『一瞬の夢』
 わたしは自分の経験を詩化しない
 アマチュア映画の時代が再びやって来る
 VCDとデジタルカメラが現れて以後
 東京の夏
 中国の基層から来た民間監督 林旭東/賈樟柯

『プラットホーム』 二〇〇〇年 《站台》
 『プラットホーム』演出ノート
 シーンの決定――『プラットホーム』
 中国語圏映画の新世紀を拓くのは誰か
 ジャ・クージャンの『プラットホーム』はいるかい?
 経験世界における映像の選択 孫健敏/賈樟柯

『イン・パブリック』 二〇〇一年 《公共場所》
 『イン・パブリック』演出ノート
 『イン・パブリック』について

『青の稲妻』 二〇〇二年 《任逍遥》
 『青の稲妻』演出ノート
 孫悟空より頭が痛い
 酒あらばまさによく意識流れ
 禁止できない映像 一九九五年からの中国ニューシネマ
 世界は畳のうえに 小津安二郎論
 映画の春が来るそうだ

『世界』 二〇〇四年 《世界》
 『世界』演出ノート
 ウランバードルの夜(『世界』挿入曲) 賈樟柯/左小祖咒作詞
 山形映画祭へ
 我々は我々の遺伝子の欠陥を見るべきだ
 わたしの映画遺伝子
 花火は上がっても、ビデオは回らず
 この一年も、まあ何とか過ぎてくれた 

『長江哀歌』 二〇〇六年 《三峡好人》
 『長江哀歌』演出ノート
 二〇〇六年の光と影
 困惑の記
 信じている通りに撮る 侯孝賢/賈樟柯
 これが我々の世代の弱さなのです
 「大作」の中に瀰漫する細菌が社会的価値を破壊する 徐百柯/賈樟柯

『東』 二〇〇六年 《東》
 『東』演出ノート
 マーティン・スコセッシ――わたしの「先輩」
 誰もが自分の肌にあった芸術を持っている 劉小東/賈樟柯
 人そのものの美しさを探し出す トニー・レインズ/賈樟柯

『無用』 二〇〇七年 《無用》
 『無用』演出ノート
 我々が裸になった時、階級の区別などない トニー・レインズ/賈樟柯
 劇映画でもあり、ドキュメンタリーでもある 蔡明亮/賈樟柯

『四川のうた』 二〇〇八年 《二十四城記》
 『四川のうた』演出ノート
 中国の映画詩人を詳説する 
        D・アンドルー/欧陽江河/?永明/呂新雨/賈樟柯

付記 賈樟柯、このかれらと異なる動物。陳丹青
訳者解説1 ポスト「改革開放」時代の表現者 丸川哲史
訳者解説2 見ることの憤怒 佐藤賢
ジャ・ジャンクー作品・受賞歴
索引 
 

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