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 2017年06月22日発売

「利己」と他者のはざまで
近代日本における社会進化思想

松本 三之介 著

四六判 上製カバー装  456頁
定価:本体3,700円+税
ISBN 978-4-7531-0341-6 C0010
「進化」という言葉は今日誰しも日常的に使ういわば常識であるように、〈変化〉するということが当たり前になってしまっている。本書は明治時代に輸入され、当時今日の「進化」という言葉と同様に盛んに議論された「社会進化論」の議論を個々人の思想家に即して丹念に跡付ける。そこで展開される「進化」と「進歩」の違いや「自然権思想」など社会認識にとって避けることが出来ない概念の説明は、著者永年の思想史研究の成果である。

【著者】

松本 三之介(まつもと さんのすけ)

1926年茨城県生まれ。1948年東京大学法学部卒業。

現在、東京大学名誉教授。

著書に

『天皇制国家と政治思想』(1969年,未來社)

『国学政治思想の研究』(1972年,未來社)

『近代日本の知的状況』(1974年,中央公論社)

『近世日本の思想像 歴史的考察』(1984年,研文出版社)

『明治精神の構造』(1993年,岩波書店)

『明治思想における伝統と近代』(1966年,東京大学出版会)

『明治思想史 近代国家の創設から個の覚醒まで』(1996年,新曜社)

『吉野作造』(2008年,東京大学出版会)

『近代日本の中国認識 徳川期儒学から東亜協同体論まで』(2011年,以文社) 

【目次】
第1章 思想としての社会進化論
 1 序論
 2 社会進化論の思想的特質
 3 日本における進化論の受容
第2章 加藤弘之と社会進化論
 1 進化論受容の軌跡
 2  「天理」としての「優勝劣敗」
第3章 キリスト教と進化論
 1 宗教と科学、そして小崎弘道
 2 内村鑑三について

第4章  「法律学の革命」

 1 「法律上ノ権理」と「道理上ノ権理」
 2 自然法論の導入
 3 穂積陳重と法律進化論

第5章 有賀長雄の社会進化論
 1 有賀長雄と社会学
 2 社会の発生と「開展」
 3 社会と国家
 4 国家の変遷
 5 「道理一統」について
 6 個人と社会と国家について

第6章 中江兆民における進化の観念
 1 『三酔人経綸問答』と「進化神」
 2 兆民の進化観

第7章 徳富蘇峰と社会進化論 ― 『将来之日本』を中心に
 1 スペンサーの流行
 2 青年期の思想形成
 3 「利己」と「利他」の調和
 4 「改革政治家」を求めて
 5 スペンサー『社会学原理』との出会い
 6 維新後日本の改革

第8章 丘浅次郎 ― 生物学者の社会進化論
 1 生物としての人間
 2 生存競争と相互扶助
 3 文明の発達と民族対立
 4 文明社会の弊害と人類の将来
 5 貧富の格差について

第9章 「利己」と「愛国」 ― 明治後期の加藤弘之
 1 「立憲的族父統治国」と国家の成立について

 2 利己と「忠君愛国」
 3 「進化」における事実と倫理

 4 「優勝劣敗」と「適者生存」

第10章 社会主義とダーウィニズム
 1 ダーウィンとマルクス
 2 万物変化の必然性
 3 競争と「協同」
 4 キッド『社会進化論』をめぐって
 5 敗者の視点と田添鐵二『経済進化論』

第11章 大山郁夫の国家論と進化論
 1 実証主義政治学の形成
 2 社会進化論の導入と国家の成立およびその特質
 3 階級なき社会の実現とその倫理的基礎

終章 社会進化論の思想的意味

 1 生物的人間と社会的人間
 2 自己保存の欲求と知能 ― 有賀長雄
 3 「生物学の見方」 ― 丘浅次郎
 4 「進化論的自己」について ― 加藤弘之
 5 「利己中心」から「自他協同」へ ― 初期社会主義
 6 社会の進化と人類性 ― 大山郁夫
 7 進化と福音 ― 内村鑑三
 8 進化の可能性と人間の主体性 ― 中江兆民
 9 社会の進化と歴史の必然 ― 徳富蘇峰

 10 法社会学への道 ― 穂積陳重
 
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