一隅を照らす

              (再刊に当たって) 著者より本文抜粋
 本書は私が教職をやめたとき、かつての教え子や友人たちにすすめられて、退任と還暦の記念に書いたものである。
 その後、絶版に付してしまったが、この面はゆい書に対して、不思議なことに教育に心ある人や真摯に道を求める人々の熱心な希望が絶えず、最近では多額の費用を投じてコピーする方々も多くなって来た。この書が出版されたとき、恩師 菅原兵治先生から「大戦を挾みてその前後の稀有の時に於ける日本教育の厳然たる一事実として金字塔的存在と存じ敬意を表し申し候」と身に余る有難い読後感のお手紙をいただいたことが思い出される。
 本書が多少なりとも今なお関心をもたれるのは、戦前から戦中・戦後の日本の激動混乱時代に、教育というものに苦悩しながら生きつづけた者の実践録であるからではなかろうか。
 この度、私の懐徳塾が創立五十五周年記念を迎えるに当たり、皆さんからこの書を再刊してほしいという熱望があったが、私自身躊躇していた。しかし考えてみると、本書は懐徳塾の目指した郷学(教学)の実践を述べたものなので、あらためて皆さんに読んでもらうのも意味があろうかと思い、再刊に踏み切った次第である。
 時代は変わっても教育の根本精神は不易である。この拙い書が、少しでも皆さんの御参考にれば幸甚である。

【著者紹介】
越川 春樹 (こしかわ はるき)
昭和7年  千葉県師範学校卒業
昭和24年 千葉県南条村立南条中学校長
昭和29年 第三回読売教育賞受賞
昭和33年 千葉県指導主事
昭和36年 千葉県船橋市立二宮中学高校
昭和41年 千葉県教育功労者として受賞
昭和49年 産業教育振興の功績者として文部大臣より表彰
昭和51年 光町懐徳書院(塾)再開設
昭和59年 産業教育振興の功績者として継続して文部大臣より表彰
平成5年  逝去
主著
『農村の師 大原幽学』(明徳出版社)
『大原幽学研究』(理想社)
『人間学百則――言志四録抄』(理想社)
『暁の鐘――次代を作る人々のために』(理想社)
『人間学論語』(以文社)
『校長清話』(以文社)
『一隅を照らす』(以文社)
『人間学言志録』(以文社)

【目次】
はしがき
師範志望
新卒教師
宿泊修養会
真剣道場
青年とともに
勝縁
別離
菅谷荘の教学
求道の生活
戦時体制下の教育
中和懐徳村塾
懐徳会
再び白浜へ
決戦下の白浜教育
敗戦の苦悩
日教組(千教祖)の擡頭
不遇の遇
新制中学の出発
産業教育・ホームプロジェクト
懐徳塾
全村学校
指導主事
二宮中教育の創造
日教組脱退と迫害
守成と結実
妻を亡くして
千葉県教職員連盟の結成
教育の興廃
有始有終
出処進退
田園の居に帰る
あとがき
著者略歴 

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