諸世界の戦争──平和はいかが?

ブリュノ・ラトゥール(工藤晋 訳、近藤和敬 解説)

装幀:近藤みどり
2020年10月26日発売
四六判 上製カバー装 136頁
定価:本体2,200円+税
ISBN 978-4-7531-0359-1

「単一自然」の政治から「多自然」の政治へ

現代人類学・現代思想における存在論的転回の中核をなしきたブリュノ・ラトゥールが語る「戦争と平和」とは。

ラトゥールは、グローバルな多文化主義の背後に潜む「単一自然」の問題性を指摘し、「多自然」主義にもとづく政治を提唱する。現行のグローバリゼーションとカント以来の「永遠平和」をリセットする21世紀の存在論的政治学の試み。。


目次

ChapterI  九 一 一
Chapter II  ひとつの自然/多くの文化という分割によって与えられる間違った平和
Chapter III 単一自然から多自然主義へ
Chapter IV  「平和ヲ欲スル者ハ……宣戦布告せよ」
ChapterV   いかなる統一なのか? 自然法主義か? あるいは構成主義か?

訳者あとがき「セール、ラトゥール、グリッサンをめぐる覚書」(工藤晋)

解題「わたしたちの「外交官」とは誰か、わたしたちの「共通世界」とは何か」(近藤和敬)


著者

ブリュノ・ラトゥール (Bruno Latour)
1947年、フランス生まれ。哲学者・人類学者。現在、パリ政治学院メディアラボ並びに政治芸術プログラム(SPEAP)付きの名誉教授。専門は科学社会学・科学人類学。主な邦訳に『近代の〈物神事実〉崇拝について ならびに「聖像衝突」』(以文社)などがある。

訳者

工藤晋 (くどう・しん)
1960年生まれ。翻訳家。都立高校教諭。関心領域はカリブ海文学、比較詩学。近年の翻訳にエドゥアール・グリッサン『ラマンタンの入江』(共訳、水声社)、ティム・インゴルド『ラインズ 線の文化史』(左右社)などがある。

解説者

近藤和敬 (こんどう・かずのり)
1979年生まれ。大阪大学大学院人間科学研究科博士後期課程単位取得退学。博士(人間科学)。現在、鹿児島大学法文学部准教授。専門は現代フランス哲学。著書に『構造と生成Ⅰ カヴァイエス研究』(月曜社)、『〈内在の哲学〉へ ──カヴァイエス・ドゥルーズ・スピノザー』(青土社)、『ドゥルーズとガタリの『哲学とは何か』を精読する──〈内在〉の哲学試論』(講談社)がある。