国際原子力ロビーの犯罪──チェルノブイリから福島へ
コリン・コバヤシ
装幀:川邉雄
装画:コリン・コバヤシ〈境界を越える物質 2〉
2013年6月25日発売
四六判 並製カバー装 240頁
定価:本体2,400円+税
ISBN 978-4-7531-0314-0
“安全宣言”は本当か?
放射能問題は本当に収束したのか? 原子力大国・フランスを知悉する著者が、福島に実害は出ないとうそぶく国連・WHOを籠絡した国際原子力ロビーの内実を分析し、ベラルーシ、ウクライナの現実から日本へ警鐘を鳴らす。
目次
序にかえて
第1章 国際原子力ロビーとはなにか
なぜ、福島に来たのはWHOではなく、IAEAとICRPなのか
・IAEAとWHOの合意書(1959年)
広島・長崎以降、放射線被曝の何が解明されたか
・ABCCから放射線影響研究所へ
・ICRPとはなにか
・唯一、対抗するECRR
IAEAとはなにか――IAEA―WHO―ICRP―UNSCEARによる支配体制
・IAEA設立の経緯
・IAEAとチェルノブイリ
・国際原子力ロビーの一翼/日本の原子力ロビー
・国際原子力ロビーの核/フランスの原子力ロビー
・IAEAの金縛りにあっているWHOとは?
・IAEAと福島
・2012年12月のIAEA国際閣僚会議はなにを決めたか
第2章 エートス・プロジェクトの実相から
エートス・プロジェクトの諸問題
・プロジェクトの目標
・チームの構成
・エートス1
・エートス2
・エートス・プロジェクトとはなにか:ミッシェル・フェルネックスの証言
・ベルラド研究所とエートス・プロジェクト
・継続されたコール・プロジェクト
・削除されたガイド:サージュ・プロジェクト
福島で行なわれたダイアログ・セミナーとはなにか
・ダイアログ・セミナーの内容
・「エートス・イン・福島」は市民による自発的運動なのか?
まとめとして――責任者の不在・過剰なる自己責任論・選択肢の不在
第3章 内部被曝問題をめぐるいくつかの証言から
原子物理学者ワシリー・ネステレンコ
・ベルラド研究所
ユーリ・バンダジェフスキー、ガリーナ・バンダジェフスカヤ夫妻の研究
・バンダジェフスキーの逮捕と冤罪
抹殺されたアップル・ペクチン
アレクセイ・ヤブロコフの証言
結論にかえて
資料1(首相官邸HPに掲載された文章「チェルノブイリ事故との比較」)
資料2(「どのようにして、フランスの原子力ロビーは、汚染地域における真実を葬り去るのか」脱原発ネットワーク―725 のNPO連合)
資料3(「原子力ロビーが犠牲者に襲いかかる時」ミッシェル・フェルネックス)
資料4(「ストリン地区の住民の健康状態の推移」)
資料5(「第三回ICRPダイアローグ・セミナー」より――ジャック・ロシャール発言の問題点)
資料6(放射能防護関連を中心とする国際原子力ロビー 人脈と構造図)
あとがき
著者
コリン・コバヤシ
1949年東京生。1970年渡仏、以来パリ近郊に在住。
美術家、ビデオ作家、フリージャーナリスト、著述家。
『Days Japan』パリ駐在協力者。
1970年代から核/原子力問題に関心を持ち、日仏の様々な軍事・民事の反核運動に関わる。
個展に、1989年パリ・ポンピドゥー・芸術文化センター〈Revue parlee〉、1992年上田画廊、1995年ギャラリーαM、など。
著書に『ゲランドの塩物語』(2001年岩波新書、2002年渋沢クローデル賞現代エッセイ賞)。
編共著に『市民のアソシエーション』(2003年太田出版)など。