増補 G8 サミット体制とはなにか

栗原康

装幀:難波園子
2016年4月25日発売
四六判 並製カバー装 184頁
定価:本体2,200円+税
ISBN 978-4-7531-0331-7​

2008年北海道・洞爺湖で開催されたサミットに合わせて刊行された旧版に、補論「負債経済の台頭」を収録し、2016年の伊勢志摩サミットへ向け、あらためて問いを投げかけた増補版。

サミットという国際的な体制(=サミット体制)が、貧困、差別、戦争など、さまざまな社会問題を世界中で引き起こしていること、そしてこの体制が、いかにわれわれの日常生活の隅々にまで具体的な影響を及ぼしているのかをリアルに描き出す。こうした「サミット体制」の歴史(つまり、その悪行)を、平易かつ実感的に叙述した国際関係論の優れた入門書。


目次

はじめに
洞爺湖サミットをきっかけに/ハイリゲンダム・サミット/ジェノヴァ、反サミット運動

第1章 世界政府 サミット
サミットとは?/サミットで開かれる会合/非民主制/新自由主義/農業、公共サービス/世界の貧困/労働の柔軟化/気候変動/戦争、テロ/人種主義、移民政策/抗議運動

コラム「世界の暴動①」チアパスの民衆蜂起

第2章 サミット体制の成立
世界秩序の転換/サミット前史/新植民地主義/サミットの誕生/多国籍企業の展開/第三世界の転換点/1970年代、南からの挑戦/北の反動

コラム「世界の暴動②」中国 反日デモ

第3章 第三世界の新自由主義
新自由主義の先駆け チリ/第三世界の債務/債務危機(ボルガー・ショック)/サミット体制の強化(IMF、世界銀行、サミット)/ 構造調整政策(ショック療法)/構造調整政策(構造改革)/ソマリアの飢餓/金融の自由化/アジア金融危機(タイのバーツ暴落)/韓国 IMFの介入/サミットの対応/債務の削減

コラム「世界の暴動③」フランス暴動

第4章 G8諸国の新自由主義
イギリス IMFの介入/サッチャリズム/国営企業の民営化/労働組合への攻撃/金持ち大減税/防衛費の増加/日本の新自由主義/輸入農産物の自由化/公共部門の民営化/規制緩和/労働の柔軟化/先進諸国とG8サミット

コラム「世界の暴動④」韓国人は怒っている

おわりに
サミット体制をもっとよく知るための文献案内
あとがき

補遺 負債経済の台頭


栗原 康 (くりはら やすし)
1979年埼玉県生まれ。早稲田大学政治学研究科・博士後期課程満期退学。
現在、東北芸術工科大学非常勤講師。専門はアナキズム研究。
著書に、
『大杉栄伝――永遠のアナキズム』(夜行社、2013年、第5回「いける本大賞」受賞)
『学生に賃金を』(新評論、2015年)
『はたらかないで、たらふく食べたい――「生の負債」からの解放宣言』(タバブックス、2015年)
『現代暴力論――「あばれる力」を取り戻す』(角川新書、2015年)
『村に火をつけ、白痴になれ――伊藤野枝伝』(岩波書店、2016年)
『死してなお踊れ――一遍上人伝』(河出書房新社、2017年)
『アナキズム――一丸となってバラバラに生きろ』(岩波新書、2018年)
『執念深い貧乏性』(文藝春秋、2019年)ほか。