空海論/仏教論
清水高志
装画:森ナナ
装幀:近藤みどり
2023年4月21日発売
四六判 上製カバー装 248頁
定価:本体2,600円+税
ISBN 978-4-7531-0374-4
仏教と哲学、2500年の対話
ミシェル・セールの研究者としてフランス哲学、現代思想を探究してきた著者による、構造的存在論による仏教論の試み。ウッダーラカ・アールニ、プラトン、ナーガールジュナからレヴィ=ストロース、そして現代哲学までを総動員しながら、仏教を思考する本書は、まさに西洋哲学・思想と東洋哲学・思想の交差であり、哲学と仏教の対話、その試みの最前線である。
前著『今日のアニミズム』(文化人類学者・奥野克巳との共著)ではテトラレンマをはじめとする仏教の思想と論理に着目し、トライコトミーという原理が提唱されたが、本書では初期仏教から空海の密教思想に至るまで、さらにその探究の射程を広げていく。
東西の人類による知的営為の2500年にわたる歴史を遡行しながら、仏教が見いだした画期とは何だったのかを問いかけ、とりわけ難解とされる空海の理論的テキスト『吽字義』の精読を通じて、現代哲学としての空海を描き出す。
第一部には上七軒文庫で開催・配信された講義「二辺を離れる」(聞き手:師茂樹、亀山隆彦)を加筆修正した「上七軒講義」を掲載、第二部には、著者渾身の書き下ろしである空海『吽字義』に関する論考を収録。
目次
序
第一部 二辺を離れるーー上七軒講義(聞き手:師茂樹、亀山隆彦)
第二部 『吽字義』考
著者
清水 高志(しみず たかし)
東洋大学教授。井上円了哲学センター理事。専門は哲学、情報創造論。著書に『実在への殺到』(水声社、2017年)、『ミシェル・セール 普遍学からアクター・ネットワークまで』(白水社、2013年)、『セール、創造のモナド ライプニッツから西田まで』(冬弓舎、2004年)、共著に『今日のアニミズム』(奥野克巳との共著、2021年)、訳書にミシェル・セール『作家、学者、哲学者は世界を旅する』(水声社、2016年)、G.W.ライプニッツ『ライプニッツ著作集第Ⅱ期 哲学書簡 知の綺羅星たちとの交歓』(共訳、工作舎、2015年)などがある。