パリと五輪
空転するメガイベントの「レガシー」
佐々木夏子
装幀:近藤みどり
2024年7月16日発売
四六判 並製カバー装 328頁
定価:本体2,700円+税
ISBN 978-4-7531-0387-4
オリンピック災害は東京だけじゃない!
グラン・パリ計画の加速装置・オリンピックがパリにやってくる──
パリと五輪の因縁から、進行するジェントリフィケーション、そして「オリンピックマネー」まで。
パリ五輪に抵抗しているのは誰か?
2007年より在仏の著者が描く、どこよりも詳しいパリ五輪の顛末。
世界に共通する課題へ──
目次
序
第1章 1992年、2008年、2012年大会招致計画
1-1.前史―― クーベルタンからグルノーブル冬季オリンピック(1968年)まで
1-2.1992年―― ベルシー地区再開発
1-3.スタッド・ド・フランス
1-4.2008年―― プレーヌ・サン = ドニ再開発と「スポーツ大通り(boulevard du Sport)」
1-5.2012年―― バティニョール再開発
第2章 グラン・パリとオリンピック
2-1.サルコジ政権のグラン・パリ計画
2-2.選手村―― 脱工業化空間のジェントリフィケーション
2-3.プレイエル地区、高速道路インターチェンジ
2-4.メディア村―― フランス共産党とオリンピック
2-5.セーヌ = サン = ドニ県外の抗議運動
2-6.「レガシー」か「No-Build」か?―― 矛盾する二つの論理
第3章 政治的エコロジーとオリンピック
3-1.社会闘争のオリンピック容認
3-2.オーベルヴィリエの「守るべき菜園(Jardins à défendre)」
3-3.環境闘争のオリンピック否認
3-4.温暖化と冬季オリンピック
第4章 オリンピック要塞都市パリ
4-1.監視資本主義
4-2.オリンピック・パノプティコンの文化イベントへの影響、沈黙の背景としての文化オリンピアード
4-3.二つのオリンピックパートナーとサイバーセキュリティ―― アリババとアトス
第5章 オリンピックマネー
5-1.スポーツマーケティング
5-2.メディア
終章
著者
佐々木夏子 (ササキ ナツコ)
文筆・翻訳業。2007年よりフランス在住。立教大学大学院文学研究科博士前期課程修了。訳書にエリザベス・ラッシュ『海がやってくる──気候変動によってアメリカ沿岸部では何が起きているのか』(河出書房新社、2021年)、共訳書にデヴィッド・グレーバー『負債論──貨幣と暴力の5000年』(以文社、2016年)など。