
労働者
主体と記号のあいだ
海大汎
装幀:近藤みどり
2025年2月25日発売
四六判 上製カバー装 376頁
定価:本体3,600円+税
ISBN 978-4-7531-0393-5
労働者になるとはどういうことか?
労働力は本当に「商品」なのか?
マルクスの「労働力=商品」論は何を間違えたのか?
“ボタンの掛け違い”から生じた錯誤をつぶさに解きほぐし、労働者の“実相”に迫る。
俊英による、資本主義の“核心”についての徹底考察。
「(…)労働者は、生産手段の喪失によってではなく、
労働記号と労働時間に対するイニシアチブの喪失によって直接生産者としての固有の主体性を失うのであり、
その結果、資本に包摂された代理生産者として労働・生産過程を遂行させられることになる」
「資本主義経済の無理は、労働力商品にではなく、
その労働・生産体制の内なる非経済的・政治的原理にこそあるといわなければならない」
(本書より)
目次
はしがき
序 論
第1章 新しい労働者像を求めて
はじめに
第1節 労働力の生産という無理
第2節 労働力の二面性
第3節 労働者像の再構築
おわりに
第2章 労働力商品という虚像
はじめに
第1節 労働力商品化の論理
第2節 労働力概念の特殊性
第3節 労働者包摂の原理
おわりに
第3章 労働者表象という擬制
はじめに
第1節 労働力商品論に内在するマルクスの商品観
第2節 労働者表象とその評価メカニズム
第3節 労働記号の枠にはめ込まれた存在
おわりに
第4章 労働と契約
はじめに
第1節 交換契約と条件契約
第2節 労働記号──その原型と変容
第3節 労働契約と労働記号
おわりに
第5章 労働と記号
はじめに
第1節 労働の記号化
第2節 賃金の構造──機能と欲求
第3節 労働力概念の応用
おわりに
第6章 労働と時間
はじめに
第1節 社会的労働時間と個別的労働時間
第2節 資本の指揮・監督機能──内容的二重性と形態的専制性
第3節 労働時間の記号化
おわりに
第7章 労働と暴力
はじめに
第1節 モノ化──包摂の条件
第2節 空間のヒエラルキー
第3節 暴力の進歩
おわりに
あとがき
参考文献、初出一覧
著者
海大汎 (ヘ・デボム)
1986年ソウル生まれ。2020年北海道大学大学院経済学院博士後期課程修了。博士(経済学)。現在、大分大学経済学部准教授。著書に『貨幣の原理・信用の原理──マルクス=宇野経済学的アプローチ』(社会評論社,2021年)。