海賊ユートピア──背教者と難民の17世紀マグリブ海洋世界
ピーター・ランボーン・ウィルソン(菰田真介 訳)
裏切り者たちのユートピア
17世紀の北アフリカ、そこにはキリスト教の背教者=海賊たちが生み出した共和国があった。イスラームに魅せられ独自に進化した「裏切り者たち」のコミュニズムとアナキズム、その先駆的かつ躍動的な文化・統治・生を、「社会レジスタンス」の可能性として現代に鮮やかに蘇生させる、「危険な物狂いたち」のための反社会宗教史。
伝説の書『T.A.Z.一時的自律ゾーン』のハキム・ベイが別名義で解き放つ、惜しげない「真の贅沢」に向けた「荒ぶる航海」!
目次
日本語版序文「荒ぶる航海」
第1章「海賊とマーメイド」
第2章「トルコ人になったキリスト教徒」
第3章「暗殺による民主主義」
第4章「チンピラ連中」
第5章「チュニスの雪花石膏宮殿」
第6章「サレーのムーア人海賊」
第7章「ムラド船長とボルティモア略奪」
第8章「海賊カレンダー」
第9章「海賊ユートピア」
第10章「「厄介なトルコ人」と呼ばれた、オールド・ニューヨークのムーア人海賊」
訳者解題「ラバト・サレー海賊の反社会的可能性」
著者
ピーター・ランボーン・ウィルソン(Peter Lamborn Wilson)
1945年生。ニューヨーク在住。アナキズム、異端宗教、神秘主義などに関する著作が多い。
1960-70年代、インド、イランなどに長く滞在し、イスラーム異端思想への造詣が深い。
日本語の翻訳された書籍に、(ハキム・ベイ名義として)
『天使』(鼓みどり訳、平凡社、1995)
『T.A.Z 一時的自律ゾーン』(インパクト出版会、1997)
『VOL』1号(以文社、2006)に論文「アヴァン・ガーデニング」
『VOL』4号(以文社、2011)にインタビュー「海賊アナキズムの詩学」がそれぞれ訳出されている。
菰田真介(こもだしんすけ)1985年生。愛知県出身。
訳書に、ガブリエル・クーン『海賊旗を掲げて――黄金期海賊の歴史と遺産』(夜光社、2013年)。