カントに学ぶ自我の哲学──カントの批判哲学と自我論および関連論考
鈴木文孝
カントによってもたらされたパラダイムシフト(哲学革命)とは何であったのか。デカルトおよびカントの「自我論」の特性を解明し、カントの「超越論的主観」概念の革新性を示す。旧著『カントの批判哲学と自我論』に、著者のもう一つのライフワークである荷風文学研究の成果(第3部「カント哲学と荷風文学とのはざまで」)を追加収録。自選作品集の第3弾。
目次
緒 言
〔第1部〕カントの批判哲学と自我論
序
第1章 デカルトのコーギトー命題と彼の自我論の特性
第2章 カントの合理的心理学批判と彼の超越論的自我論
第3章 カントの合理的心理学批判と彼の自我論の存在論的側面
第4章 カントの自我論とその歴史的背景
〔第2部〕The Critical Philosophy of Immanuel Kant and His Theory of the Ego
Preface
Chapter 1 The Cogito Proposition of Descartes and Characteristics of His Ego Theory
Chapter 2 Kant’s Criticism of Rational Psychology and His Theory of the Transcendental Ego
Chapter 3 Kant’s Criticism of Rational Psychology and the Ontological Aspect of His Ego Theory
Chapter 4 Kant’s Ego Theory and Its Historical Background
〔第3部〕カント哲学と荷風文学とのはざまで
第1章 「超越論的弁証論」をめぐって
第2章 『純粋理性批判』第二版の「コーギトー」命題に関する脚注をめぐって
第3章 カントの自我の哲学と永井荷風の諦めの哲学
哲学・倫理学の旅の結びに
参考文献(References)
初出一覧
著者
鈴木 文孝(すずき ふみたか)
1940年静岡県に生まれる。1963年、東京教育大学文学部卒業。1970年、東京大学大学院人文科学研究科博士課程を学科課程修了にて満期退学。2004年、愛知教育大学教育学部を定年により退職。現在、愛知教育大学名誉教授、文学博士(筑波大学)。
著書
『カント研究――批判哲学の倫理学的構図』(以文社、1985年)
『カント批判――場の倫理学への道』(以文社、1987年)
『倫理の探究』(以文社、1988年)
『共同態の倫理学――カント哲学及び日本思想の研究』(以文社、1989年)
『近世武士道論』(以文社、1991年)
『若き荷風の文学と思想』(以文社、1995年)
『カントとともに―カント研究の総仕上げ』(以文社、2009年)
『永井荷風の批判的審美主義――特に艶情小説を巡って』(以文社、2010年)
『諦めの哲学』(以文社、2011年)
『西洋近代哲学とその形成』(以文社、2013年)
『カントの批判哲学と自我論』(以文社、2015年)
『カント研究の締めくくり』(以文社、2016年)
『増補 カント研究の締めくくり』(以文社、2016年)
『改訂版 諦めの哲学』(以文社、2016年)
『カントとその先行者たちの哲学』(以文社、2018年)
翻訳
マックス・シェーラー『超越論的方法と心理学的方法―哲学的方法論の根本的論究』(『シェーラー著作集』14所収、白水社、1976年)