ホモ・サケル──主権権力と剥き出しの生
ジョルジョ・アガンベン(高桑 和巳 訳、上村 忠男 解題)
近代主権論の嚆矢カール・シュミットの〈例外状態〉の概念を、アーレントの〈全体主義〉とフーコーの〈生政治〉の成果をふまえて批判的に検討を加え、近代的主権の位相を捉えた画期的な政治哲学。近代民主主義の政治空間の隠れた母型を明かすアガンベンの主著。
目次
第1部 主権の論理
1 主権の逆説
2 主権者たるノモス
3 潜勢力と法権利
4 法の形式
境界線
第2部 ホモ・サケル
1 ホモ・サケル
2 聖なるものの両義性
3 聖なる生
4 生殺与奪権
5 主権的身体と聖なる身体
6 締め出しと狼
境界線
第3部 近代的なものの生政治的範例としての収容所
1 生の政治化
2 人権と生政治
3 生きるに値しない生
4 「政治、すなわち人民の生に形を与えること」
5 VP〔人間モルモット〕
6 死を政治化する
7 近代的なもののノモスとしての収容所
境界線
翻訳者あとがき
人名索引
解題「閾からの思想――ジョルジョ・アガンベンと政治哲学の現在」上村忠男
著者
ジョルジョ・アガンベン (Giorgio Agamben)
1942年生まれ。哲学者。マチェラータ大学、ヴェローナ大学、ヴェネツィア建築大学で教えた後、現在、ズヴィッツェラ・イタリアーナ大学メンドリジオ建築アカデミーで教鞭をとる。『ホモ・サケル』(以文社)、『例外状態』(未來社)、『スタシス』『王国と栄光』(共に青土社)、『アウシュヴィッツの残りのもの』(月曜社)、『いと高き貧しさ』『身体の使用』(共にみすず書房)など多数。
訳者
高桑 和己(たかくわ かずみ)
1972年生まれ。東京大学大学院総合文化研究科博士課程単位取得満期退学。現在、慶應義塾大学理工学部准教授。
著書に、『アガンベンの名を借りて』(青弓社)、編著に『デリダと死刑を考える』(白水社)など。