過去の声 18世紀日本の言説における言語の地位
酒井直樹(酒井直樹 監訳/川田潤、斎藤一、末廣幹、野口良平、浜邦彦 訳)
「私が話し、書く言葉は、私に帰属するものではない」。この意表をつく言葉で始まる本書は、18世紀日本(徳川期)の言説空間――漢学・国学・文学・歌論・歌学――における言語をめぐる熾烈な議論が、その果てになぜ日本語・日本人という起源への欲望を生み出したかをを解き明かす。シュタイ(主観・主体・主語・主題)・言語・文化・歴史の不可分の関係を論じ、「日本思想史研究」を50年ぶりに塗り替える、丸山真男以来の達成。
目次
日本語版への序文
まえがき
序章 理論的準備
第Ⅰ部 中心の沈黙――伊藤仁斎と間テクスト性の諸問題
第1章 言説編制様式における変化
第2章 伊藤仁斎――身体としてのテクストとテクストとしての身体
第3章 テクスト性と社会性――実践、外部性、発話行為における分裂の問題
第Ⅱ部 枠づけ――意味作用の剰余と徳川期の文学
第4章 発話行為と非言語表現的テクスト
第5章 代補
第6章 異化とパロディ
第Ⅲ部 言語、身体、そして直接的なもの――音声表記と同一なるもののイデオロギー
第7章 翻訳の問題
第8章 表音表記と歴史
第9章 舞踏術の政治
結論
注
事項索引
人名索引
著者
酒井 直樹(さかい なおき)
1946年生まれ.東京大学文学部卒業。1983年シカゴ大学人文学部極東言語文明学科博士号。同大学人文科学部助教授を経て,コーネル大学教授。日本思想史、文化理論、比較思想論、文学理論など広範な領域で活躍。著書に、『死産される日本語・日本人』(新曜社)、『日本思想という問題』(岩波書店)、『希望と憲法』(以文社)など。
訳者
川田潤(かわた じゅん)
1966年生まれ。福島大学人間発達文化学類教授。
斎藤一(さいとう はじめ)
1968年生まれ。筑波大学大学院人文社会科学研究科准教授。
末広幹(すえひろ みき)
1965年生まれ。専修大学文学部教授。
野口良平 (のぐち りょうへい)
1967年生まれ。京都造形芸術大学非常勤講師。
浜 邦彦(はま くにひこ)
1968年生まれ。早稲田大学教育学部准教授。