笑いの本地、笑いの本願

装幀:難波園子
2004年11月19日発売
四六判 上製カバー装 256頁
定価:本体2,800円+税
ISBN 978-4-7531-0238-6​

笑いの本地、笑いの本願──無知の知のコミュニケーション

谷泰

なぜヒトは笑うのか? 笑いの本格的考察!

本書が扱う〈笑い〉は、いわゆる「お笑い種」における〈笑い〉ではない。身近で、ごくありふれた日常の会話の現場に注目してみると、わたしたちは、冗談や、からかいなどがない発話のもとでも、しきりに笑い声を立てていることに気がつく。本書は、この会話的コミュニケーションの現場における笑いの諸相を事例を通して具体的に取り出し、笑い手のなかに立ち現れる認知的視界を描いて、笑いが醸し出すコミュニケーション上の豊饒な機能を明らかにする。笑いへの認知科学、言語学、人類学、哲学的アプローチ。


目次

序章
第1部 会話のなかの笑い――事例分析
 1章 予備的考察――会話における穂継ぎの諸相
 2章 笑いに関与的な認知的経験をめぐって

第2部 会話における事態認知の諸相
 3章 〈いまここ〉での会話上の事態
 4章 会話における基礎レベルでの事態:不一致
 5章 〈基礎レベルでの事態:不一致〉を知る
 6章 他者の無知を知る者の認知上の視界
 終章 笑いの本地、笑いの本願
おわりに
参考文献


著者

谷 泰(たに ゆたか)
1934年福岡県生まれ。京都大学名誉教授。『牧夫フランチェスコの一日』(1976年刊、エッセイスト賞)以来、日本では珍しい牧畜文化の研究の第一人者。その成果は、『神・人・家畜』に結実している。『文化を読む』人文書院(1991)以来、会話分析による認知科学的アプローチで新たな人類学を展開。著書に『牧夫の誕生――羊・山羊の家畜化の開始とその展開』(岩波書店、2010年)など。