新世界秩序批判──帝国とマルチチュードをめぐる対話
トマス・アトゥツェルト・ヨスト・ミュラー 編(島村賢一 訳)
ネグリ&ハート『〈帝国〉』が提起した問題系を、両者を含めた独、仏、伊のヨーロッパの知識人たちが展開した対話集である。今日のイラク戦争にまで至る「戦争が常態化した世界編成」のあり方を問う示唆的な好著。
目次
第1部 帝国、世界システムと資本の国際化
「帝国の発展路線――世界システムの転換」(ジョヴァンニ・アリギ)
「新しい世界秩序――国家の国際化」(ヨアヒム・ヒルシュ)
「帝国とマルチチュードの構成的権力――アントニオ・ネグリへのインタヴュー」(トマス・アトゥツェルト&ヨスト・ミュラー)
第2部 帝国における階級闘争とマルチチュード
「農民世界の薄明――帝国における階級分析のために」(マイケル・ハート)
「国家に抗する社会――クラストル、ドゥルーズ、ガタリ、フーコーについての覚書」(ジュディト・ルヴェル)
「マルチチュードの存在論的規定」(アントニオ・ネグリ)
「マルチチュードの逃亡線――ジュノバとニューヨーク以後の短い電子メモ」(アンヌ・ケリアン)
著者
トマス・アトゥツェルト(Thomas Atzert)
翻訳家、雑誌 Subtropen (亜熱帯)の編集者。ネグリ、ラッツァラート、ヴィルノとの共著 Umherschweifende Produzenten.Immaterielle Arbeit und Subvertion, Berlin: ID Verlag 1998の編者。
ヨスト・ミュラー(Jost Muller)
文学者、政治学者、Subtropen(亜熱帯)の編集者、現在、ウィーン大学とフランクフルト大学で教鞭をとる。著書に、Sozialismus, Hamburg: Rotbuch 2000, など。
訳者
島村 賢一(しまむら けんいち)
1959年生まれ。東京外国語大学卒業。東京都立大学院社会科学研究科修士課程修了。同大学院同学科博士課程中退。1959年生まれ。社会学者。放送大学・千葉大学ほか非常勤講師、世田谷区生涯大学専任講師。
訳書に、ウルリッヒ・ベック『世界リスク社会論』(平凡社、2003年)など。