VOL 01

装幀:前田晃伸
2006年5月17日発売
B5変形判 並製カバー装 208頁
定価:本体2,200円+税
ISBN 978-4-7531-0247-5​

VOL 01 政治とはなにか/アヴァン・ガーデニング

萱野稔人、高祖岩三郎、酒井隆史、渋谷望、田崎英明、平沢剛、松本潤一郎、松本麻里、矢部史郎

新たな理論誌の創刊!

理論/アート/運動をラディカルに組み替えていく新思想誌『VOL』の誕生。

「現在の日本において、「運動」という言葉を目にすることは非常に少なくなりました。運動を実践することは批判の対象にされ、そこから距離を取るような脱・政治的な態度こそが思想的である、という風潮さえ感じます。しかし、シアトル、ジェノバでのWTO閣僚会議への抗議行動や昨年フランスで起きた暴動、あるいは南米の自由貿易協定への反対運動などを見ると、そのような日本固有の思想的、政治的現象の方がむしろ非常にローカルなものにさえ見えてきます。世界においては、オルタナティヴな共同体の創造を目指して、次々に新しい実践がなされ、それに伴い、様々な思想的、文化的実験が活発に行なわれています。そこでは、広義な意味での「運動」が、理論、思想、文化的な作業と分かち難く結びついているのです。
私たちは、『VOL』において、理論を理論として、思想を思想として、文化を文化として、芸術を芸術として、表現を表現として、実践を実践として捉えるのではなく、このような「運動」に依拠した横断的な試みできないかと考えています。しかしながら、これは独創的でも、画期的な発想でもなく、かつての1960年代を中心とした日本が持っていたであろう「世界性」を、もう一度獲得し直すことでもあるのです。現在性を手放さないと同時に、歴史を検証し、そこから学ぼうとするのは、逆説的に現在を問い直すことと同義だと言えるでしょう。『VOL』によって、こうした様々な作業を継続的に重ねていくことができればと思います」。(VOL編集委員より)


目次

特集1「政治とはなにか」

討議
「政治とはなにか」白石嘉治+酒井隆史+田崎英明+萱野稔人+松本潤一郎

論考
「政治についての10のテーゼ」ジャック・ランシエール(杉本隆久訳)
「ドゥルーズと可能的なもの――政治における非主意主義について」フランソワ・ズーラビクヴィリ(大山載吉訳)
「政治・平等・出来事――いま政治を考えるためのブックガイド」酒井隆史
「無意識と政治――ドゥルーズ・ジジェク・バディウ」松本潤一郎
「何も起こらない世界――延命か中断か」篠原雅武

エッセイ
「埒外な彼女たち・埒外な取引」松本麻里
「収奪とミクロ搾取 マイク・デイヴィス『スラムの惑星』について」ケン カワシマ(比嘉徹徳訳)
「(小さな)政治が充満する」矢部史郎
「亡霊たちのブローバック」渋谷望

スペシャル・インタビュー
「新しいアナーキズムの政治」デヴィッド・グレーバー 聞き手・高祖岩三郎
「運動のオートノミーをめぐって」粉川哲夫 聞き手・平沢剛


特集2「アヴァン・ガーデニング」

論考
「アヴァン・ガーデニング」ピーター・ランボーン・ウィルソン(金田智之訳)
「VIVA ロイサイダ・リブレ」ビル・ワインバーグ(近藤真里子訳)
「庭=運動(アヴァン・ガーデニング)以後」高祖岩三郎
「集客都市の暴力」原口剛

インタビュー
「大地の奪還をめざして」ラファエロ・ブエノ(聞き手・高祖岩三郎+酒井隆史/比嘉徹徳訳)

エッセイ
「NYコミュニティガーデン盛衰史」トシダ ミツオ
「台所とお化けたち」五所純子
「世界を震撼させなかった3日間のように」究極Q太郎
「コインランドリー・グルーヴ――生き抜くために必要なこと」RADIO MAROON(レディオ・マルーン)
「ゲリラ・ガーデニング N.Y.C.」ユウジ・アゲマツ

VOL/CRITIC
「PSE法は階級の問題である」二木信
「西成の「経験」――SHINGO☆西成というラッパーについて」村上潔
「「帝国」を追いかけて――富山妙子の仕事」菊池亮
「IRREGULAR RHYTHM ASYLUMヨリ」成田圭祐

VOL/BOOK
「文学の名において――ネオリベラリズムに抗するために」白石嘉治
「都市空間をめぐるアート/闘争、そして活動家(アクティヴィスト)の理論」高祖岩三郎