〈テロル〉との戦争 ──9.11以後の世界
西谷修
世界を震撼させた「同時多発テロ」からすでに5年。この事件を堺に世界秩序の編成は大幅に変化した。かつて戦争は国家間の戦争を意味したが、「テロとの戦争」は軍事的対象を国家から人民に変えた。そのことは世界の秩序編成に何をもたらそうとしているのか? 『戦争論』の著者が世界史的な視野からこの問題に応える。
目次
5年後の世界
これは「戦争」ではない――世界新秩序とその果実
ヴァーチャル植民地としての世界
恐怖〈テロル〉との戦争――グローバリゼーション下の安全保障
カンダハルに降る義足の雨
ウンタマギルーの眉間の槍
フォンタナ広場を掠めた妖怪
イスラエルにおける「テロとの戦争」
マンハッタンの晴れない霧
海の向こうのそれぞれの冬
アメリカが世界の怒りをあおった日
あなたのための世論作ります――新しい情報製造業
永遠の「パパ」――〈帝国〉の二つの車輪
フセインの首
イラク戦後1年
内的秩序と戦争
スペインで起こったこと
3年後の9月
著者
西谷 修(にしたに おさむ)
1950年愛知県に生まれる。東京大学法学部卒業、パリ第Ⅷ大学留学。明治学院大学(仏文学)を経て、東京外国語大学大学院教授(思想文化論)。
著書に、『戦争論』(講談社学術文庫)、『夜の鼓動にふれる』(ちくま学芸文庫)、『〈世界史〉の解体』(酒井直樹との共著、以文社)、『増補新版 不死のワンダーランド』(青土社)など。
訳書に、『明かしえぬ共同体』(ちくま学術文庫)、『侵入者』(以文社)、『無為の共同体』(以文社)など。