VOL 02

装幀:前田晃伸
2007年4月26日発売
B5変形判 並製カバー装 296頁
定価:本体2,200円+税
ISBN 978-4-7531-0254-9​

VOL 02 ベーシック・インカム/ドゥルーズ『シネマ』 

萱野稔人、高祖岩三郎、酒井隆史、渋谷望、白石嘉治、田崎英明、平沢剛、松本潤一郎、松本麻里、矢部史郎、デヴィッド・グレーバー、ジム・フレミング 編

『VOL』第2号の第1特集は「ベーシック・インカム」。前号の座談会(「政治とはなにか」)でも示唆されていたように、このテーマは「政治」の可能性を考える、もしくは「政治」の継続を志向するうえで、いまや避けては通れない、非常に重要なテーマである。ベーシック・インカム論の第一人者である山森亮氏を迎え、本誌編集委員と討論を交わす。第2特集は、「ドゥルーズ『シネマ』」。ドゥルーズ後期の代表作である本書の翻訳出版を契機として、映画=世界であるところの『シネマ』について、その潜在性を様々な形で引き出す。
緊急特集として「大阪「長居公園テント村強制排除」から考える」、また、D・グレーバーのインタビューも掲載。


目次

特集1「ベーシック・インカム――ポスト福祉国家における労働と保障」

座談会
山森亮、萱野稔人、酒井隆史、渋谷望、白石嘉治、田崎英明
「ベーシック・インカムとはなにか」

インタビュー
小泉義之
「ベーシック・インカムの「向こう側」」(聞き手 白石嘉治、矢部史郎)

堅田香織里
「ベーシック・インカムを語ることの喜び」(聞き手 白石嘉治)

論考
アンドレア・フマガリ+ステファノ・ルカレリ
「認知資本主義下におけるベーシック・インカムと対抗権力」(木下ちがや訳)
アントニオ・ネグリ
「無条件かつ普遍的な所得保証へ――アンドレ・ゴルツ『現在の貧困、可能なるものの豊さ』をめぐって」(和泉晃訳)
マウリツィオ・ラッツァラート
「所得を保証すること――マルチチュードのための政治」(中倉智徳訳]
アラン・カイエ
「しかるべく20世紀と決着をつけるために」(谷口清彦訳)
廣瀬純
「ベーシック・インカムの上下左右――運動なきBIはつまらない」
宇城輝人
「労働と個人主義――ロベール・カステルの所説によせて」
入江公康
「“能動的”賃金、回帰する政治――賃金闘争史をベーシック・インカムに」

エッセイ
矢部史郎
「魂の戦争が始まる」
松本麻里
「彼女らが知っていること、知っていたこと」
小林勇人
「冗談でも、本気ならなおさら、”Don’t Kill Me!”――ニューヨークのワークフェア政策の「現実」」  

特集2「ドゥルーズ『シネマ』」

座談会
鵜飼哲、田崎英明、平沢剛
「ドゥルーズ『シネマ』をめぐって」

往復書簡
松本潤一郎「ジャンルと門外――『シネマ2  時間イメージ』をめぐる、宇野邦一への4つの質問」
宇野邦一「離れ離れのインタビューあるいは妄言」

『シネマ』翻訳者より
石原陽一郎「世界への信頼 ドゥルーズとカベル」
江澤健一郎「写真という鋳型の時間」
大原理志「アレクセイエフの時間」
岡村民夫「なぜシネマか 『シネマ2 時間イメージ』から」

インタビュー
仲里効
「歴史を逆撫でにしていく映画の方法」(聞き手=平沢剛、矢部史郎)

論考
ジャック・ランシエール
「あるイメージから別のイメージへ? ドゥルーズと映画の諸時代」(三輪誠一郎訳)
ローラ・U・マークス
「時間の記号――ドゥルーズ、パース、ドキュメンタリー映像」(笹田恭史訳)
ジョナサン・ベラー
「『シネマ』は20世紀の『資本論』か?」(石岡良治訳)
古畑百合子
「ドゥルーズと映画と「この世界」」
友常勉
「「アジア全体に現れている疲労の感覚」――ジャ・ジャンクー『三峡好人(サンシャハオレン)/スティル・ライフ』」

エッセイ
江川隆男
「死体を触発する」
渋谷哲也
「ファシズムへの抵抗とイマージュへの信頼」
radio maroon
「君は本当に欲しいものを手に入れられる」
五所純子
「A級現行犯」

インタビュー連載
デヴィット・グレーバー
「新しいアナーキズムの哲学」(聞き手・高祖岩三郎)

緊急特集 大阪「長居公園テント村強制排除」から考える

原口剛
「都市再編のなかの公共空間――大阪・テント村をめぐる状況」
綱島洋之
「「支援者」という言葉を再び骨抜きにするために」
山西麻依
「彼らはなぜ踊り、演じたのか」

VOL/CRITIC

二木信「Freestyle Wars」
村上潔「「戸籍がない子にもパスポートを!」という運動」
成田圭祐「「Ungdomshuset」をあらゆる場所に」
グレープフルーツ「自己決定と責任」
一色こうき「グライム」
入江宗則「『幽閉者』、貧しさとともに物語ること」
佐藤由美子「ポエトリー・イン・ザ・キッチン」
藤沼亮「戦奏、旋争機械」
中村葉子「ブラック・ダイヤ・パラダイス 『フラガール』の女たち」