資本主義後の世界のために──新しいアナーキズムの視座
デヴィッド・グレーバー(高祖岩三郎 訳/構成)
いまここにあるコミュニズム
資本主義は、人間社会の基底としてあるコミュニズムを管理するもっとも惨めな方法である。独自の人類学的価値理論から新しい社会を産む人間経済の可能性を説く、いまもっともアクチュアルな思想家の待望のインタビュー集。歴史と未来を同時に読み替える、希望に満ち溢れた社会/経済理論。
目次
序文 共に考える場所、共に組織するとき(高祖岩三郎)
インタビュー・1 新しいアナーキズムの政治
・新しいアナーキズム1――組織論について
・新しいアナーキズム2――戦術をめぐる攻防
・マルクス主義とアナーキズム1――戦略分析と実践倫理
・マルクス主義とアナーキズム2――ネグリと「前衛主義」について
・想像的対抗力をめぐって1――社会機構の否定と現前
・想像的対抗力をめぐって2――「戦闘規約」の書き換え
・人類学的価値理論――共産主義社会に寄生する資本主義
・疎外と革命
・9・11以後、運動はいかに可能か
インタビュー・2 新しいアナーキズムの哲学
・社会学とユートピア
・理性と道理
・贈与の類型学
・進歩史観をめぐって
・グレーバー的価値論の世界1――価値の測定と価値の実現
・グレーバー的価値論の世界2――負債と貨幣
・グレーバー的価値論の世界3――権利・私的所有・税
・グレーバー的価値論の世界4――「人間経済」について
・アナーキスト的世界システム論
・フェティシズムの再解釈
・新しいアナーキズムの哲学1――マルクスとモース
・新しいアナーキズムの哲学2――幾人かの先駆的思想家たち(カストリアディス/ヴァネーゲム/バスカー/ホロウェイ/まとめにかえて)
D・グレーバー/論文 負債をめぐる戦略
D・グレーバー + 矢部史郎/対話 資本主義づくりをやめる
前衛主義と暴力をめぐって/フェミニズムと低理論の実践/自律と表現
高祖岩三郎/あとがき
著者
デヴィッド・グレーバー(David Graeber)
1961年、ニューヨーク生まれ。文化人類学者・アクティヴィスト。ロンドン・スクール・オブ・エコノミクス大学人類学教授。
訳書に、
『アナーキスト人類学のための断章』(2006年)
『負債論』(2016年)
『官僚制のユートピア』(2017年)ほか。
著書に、
Bullshit Jobs: The Rise of Pointless Work, and What We Can Do About It (Penguin, 2019).
Toward an Anthropological Theory of Value:The False Coin of Our Own Dreams (Palgrave, 2001、以文社より近刊予定).
Lost People:Magic and the Legacy of Slavery in Madagascar (Indiana University Press, 2007).
Direct Action:An Ethnography (AK Press, 2007). ほか多数。
マーシャル・サーリンズとの共著に、On Kings (HAU, 2017) がある(以文社より刊行予定)。
訳者
高祖岩三郎 (こうそ いわさぶろう)
翻訳家、批評家、Autonomedia編集委員。
1980年渡米、ニューヨーク在住。
著書に、
『ニューヨーク烈伝』(青土社、2006年)
『新しいアナキズムの系譜学』(河出書房新社、2009年)
『死にゆく都市、回帰する巷』(以文社、2010年)など。
訳書に、Kojin Karatani, Transcritique (MIT Press)
Arata Isozaki, Japan-ness Architicture (MIT Press)
D・グレーバー『アナーキスト人類学のための断章』(以文社、2006年)など。