正戦と内戦──カール・シュミットの国際秩序思想
大竹弘二
シュミット政治哲学の総体と詳細
20世紀政治哲学の巨人、カール・シュミットの最初期から晩年までの思想を完全網羅し、シュミットの挫折、そして今なお参照するべきシュミット思想の可能性までを描き切った渾身の力作。グローバリゼーションと民主主義の行き詰まりの時代にシュミットの思想はいかにして蘇り、その姿を変えるのか? 右派・左派そして時代を問わず、政治的な言説の中でいつも呼び起されるシュミットの思想の核には何があり、また彼は何と闘っていたのか?
萱野稔人氏、絶賛!
目次
序論 普遍主義、現実主義、広域秩序
第1章 規範、フィクション、概念の政治(1910年~1930年代半ば)
Ⅰ.規範と決断
Ⅱ.フィクション主義から理念政治へ
Ⅲ.精神的従属の論理
第2章 国際連盟とヨーロッパ秩序(1923年~1938年)
Ⅰ.真の「連邦」の構築に向けて
Ⅱ.米ソのはざまの国際連盟
Ⅲ.国際法と戦争の意味変化
第3章 広域秩序構想(1939年~1945年)
Ⅰ.近代主権国家体制の終焉
Ⅱ.ドイツ・ライヒと広域秩序
Ⅲ.近代国際法の歴史的根源へ
Ⅳ.空間秩序喪失、あるいは歴史の加速
第4章 「歴史の終焉」と世界内戦(1945年~1970年)
Ⅰ.歴史的一回性の弁証法
Ⅱ.歴史、神学、政治 ― 加速者と抑止者
Ⅲ.〈歴史以後〉における国家の帰趨
第5章 パルチザンの時代 (1960年代)
Ⅰ.20世紀における反逆者たち
Ⅱ.パルチザンの精神の誕生と没落
Ⅲ.利害関係ある第三者
第6章 権力の前室と合法的革命(1945年~1980年代半ば)
Ⅰ.公共性と秘密の弁証法
Ⅱ.権力者へのアクセスをめぐる闘争
Ⅲ.ボン共和国の「正常性」
Ⅳ.国家を超える政治
結語
あとがき
参考文献表
人名索引
著者
大竹 弘二(おおたけ こうじ)
1974年生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業。東京大学大学院総合文化研究科博士課程修了。現在、南山大学国際教養学部国際教養学科准教授。
著書に、『公開性の根源――秘密政治の系譜学』(太田出版、2018年)。
訳書に、アレクサンダー・ガルシア・デュットマン『思惟の記憶 ハイデガーとアドルノについての試論』(月曜社、2009年)ほか。