思惟の道としての現象学──超越論的媒体性と哲学の新たな方向
新田義弘
現象学の創始者フッサールが生誕150年を迎え、世界中で現象学そのものの新たな見直しが進められている。本書はその現象学の国内における第一人者の近年の思索と活動を集大成した注目の書。フッサール、ハイデガーといった先人たちの営為を引き継ぎ紹介するだけでなく、現代思想・哲学の最先端を踏まえその問題点を指摘、さらに彼ら自身気づいていなかった可能性をうがち発展させ、新しい哲学へと生まれかわらせようとしている。最前線で思考をつづける、現代では稀となった本物の哲学。
目次
第1部 超越論的媒体性とはなにか
第1章 方法の事象回帰の運動 フッサールの現象学のたどった道
第2章 反省理論からの解放 自己意識の現象学の課題
第3章 超越論的媒体性としての自覚
第2部 知の像性と生命性
第4章 知の像性と仮象の発生
第5章 断想 他者と死
第6章 フッサールとハイデガーのあいだ 「視象性」をめぐる問いの往還
第3部 知の帰属性と責任性
第7章 知の責任性と生の根本気分
第8章 知の自証性と世界の開現性 西田幾多郎と井筒俊彦
第9章 行為的直観の現象学的究明 芸術・宗教・哲学の交差域への問い
著者
新田 義弘(にった よしひろ)
1929年生まれ。東北大学卒業。哲学者。専攻は現象学、解釈学。東洋大学名誉教授。
著書に『現象学』(岩波全書、1978年)、『現象学とは何か』(講談社学術文庫、1992年)、『現代の問いとしての西田哲学』(岩波書店、1998年)、『世界と生命』(青土社、2001年)、『現象学と解釈学』(ちくま学芸文庫、2006年)、ほか多数。