原子力都市
矢部史郎
核の時代の街を歩く
異彩を放つ在野の思想家・矢部史郎が日本各地を自らの足で訪ね歩き、その土地土地でインスピレーションを受けながら、自身の積年のテーマであった「原子力と都市」について書き上げた渾身の異色作。
「本書に収められたエッセーは、2006年から2年間のあいだ、いくつかの土地を歩き書いたものだ。(……)
「原子力都市」は、ひとつの仮説である。
「原子力都市」は、「鉄の時代」の次にあらわれる「原子の時代」の都市である。
原子力都市の新たな環境のなかで、人間の力はいまはまだ小さな犯罪や破壊行為に封じ込められている。だが、こうした小さなうごめきもいつかは、政治と文化をめぐる一般理論を生み出し、確かな意思を持つことになるだろう。この無数のうごめきがはらんでいる創造性を解き放つために、いま考えなければならない」(本書「序」より)
目次
序
柏崎
旧・上九一色村 サティアン跡
呉
砂丘(演習)
京都
むつ
川口
日本ピラミッド
硫黄島
広島
両国 隅田川テラス
恐山
圏央道 つくばジャンクション
藤里町
厚木 幽霊病院
原子力都市と海賊
教育と都市について
あとがき
著者
矢部 史郎(やぶ しろう)
1971年生まれ。90年代からさまざまな名義で文章を発表し、社会運動の新たな思潮を形成した一人、高校を退学後、とび職、工員、書店員、バーテンなど職を転々としながら、独特の視点と文体で執筆活動を続けている。思想家。
著書に、『愛と暴力の現代思想』(青土社、山の手緑との共著)、『無産大衆神髄』(河出書房新社、同)ほか。
編著に『VOL lexicon』(以文社)がある。