永井荷風の批判的審美主義──特に艶情小説を巡って
鈴木文孝
老荘と仏教を混和した宋以後の中国思想と、19世紀ロマンチズムとそれ以後の個人主義的芸術至上主義の西洋思想。この隔絶した思想を体得した荷風の作品世界を『腕くらべ』などの艶情小説を中心に読み解く。
目次
序論
第1章 文化勲章受章者 永井荷風
第2章 『腕くらべ』についての考察のためのプレリュード 1
第3章 『腕くらべ』についての考察のためのプレリュード 2
第4章 『腕くらべ』についての考察
第5章 『おかめ笹』についての考察
第6章 『つゆのあとさき』についての考察
第7章 『日かげの花』についての考察
第8章 『墨東綺譚』についての私観
第9章 近代文学の巨匠と素粒子物理学の巨匠との接点を求めて
結び
著者
鈴木 文孝(すずき ふみたか)
1940年生まれ。1963年東京教育大学文学部卒。文学博士。現在、愛知教育大学名誉教授。
著書に『カント研究』(以文社、1985年)、『カントとともに』(以文社、2009年)など多数。翻訳にマックス・シェーラー『超越論的方法と心理学的方法』(白水社、1976年)など。