近代日本の中国認識

装幀:難波園子
2011年8月11日発売
四六判 上製カバー装 344頁
定価:本体3,500円+税
ISBN 978-4-7531-0291-4​

近代日本の中国認識  ──徳川期儒学から東亜協同体論まで

松本三之介

グローバル時代の〈他者理解〉のために

江戸期儒学から「帝国」日本の思想的帰結としての東亜協同体論まで、日中関係の精緻な思想研究の成果に立って、グローバル時代の日本の国民的課題である〈他者理解〉の問題を照射した画期的思想史。


目次

第1章 中華「帝国」と「皇国」
1 「亜細亜(アジア)」および「東洋」という呼称について
2 近世に本の儒学と中国
3 国学者たちの中国観
4 華夷思想からの離脱
5 アヘン戦争の思想的意味

第2章 「文明」の影で
1 明治前半期の中国認識――その三つの類型
2 日清連帯論をめぐって
3 福沢諭吉の「脱亜論」について
4 中江兆民と中国

第3章 日清戦争と西洋列強の中国進出
1 日清戦争と中国認識
2 列強の帝国主義と中国
3 中国保全論
4 岡倉天心のアジア観

第4章 中国革命への視線と対応
1 辛亥革命と宮崎滔天
2 北一輝『支那革命外史』について
3 大正デモクラシーと中国(一)――吉野作造
4 大正デモクラシーと中国(二)――石橋湛山

第5章 「東亜協同体」論をめぐって

第6章 結び
1 蔑視の思想
2 正しい中国認識に向けて――「軽蔑する方法」の克服
3 ヨーロッパ的世界との対決


著者

松本 三之介(まつもと さんのすけ)
1926年茨城県生まれ。1948年東京大学法学部卒業。
現在、東京大学名誉教授。
著書に
『天皇制国家と政治思想』(1969年、未來社)
『国学政治思想の研究』(1972年、未來社)
『近代日本の知的状況』(1974年、中央公論社)
『近世日本の思想像 歴史的考察』(1984年、研文出版社)
『明治精神の構造』(1993年、岩波書店)
『明治思想における伝統と近代』(1966年、東京大学出版会)
『明治思想史 近代国家の創設から個の覚醒まで』(1996年、新曜社、2018年、以文社)
『吉野作造』(2008年、東京大学出版会)
『「利己」と他者のはざまで 近代日本における社会進化思想』(2017年、​以文社)