レイシズム・スタディーズ序説
鵜飼哲、酒井直樹、テッサ・モーリス=スズキ、李孝徳
レイシズムが立ち現われる現場
レイシズムは私たちの日常においてどのように機能するのか。歴史、そして世界のさまざまな事例を通し、現代日本社会の根幹問題に鋭く迫る。
人種主義(レイシズム)が立ち現われる現場は、ある社会的な関係が人体の特徴などを通して反照し、私と他者の自己画定(アイデンティティ)を同時に限定するときである。この投射されたアイデンティティ・ポリティックスは現代のあらゆる社会関係に随伴する。本書は、この視点から現代社会を読み解く壮大な試みである。
目次
レイシズム・スタディーズへの視座(酒井直樹)
グローバル化するレイシズム(テッサ・モーリス=スズキ)
移民/先住民の世界史――イギリス、オーストラリアを中心に(テッサ・モーリス=スズキ/聞き手・李孝徳)
共和主義とレイシズム――フランスと中東問題を中心に(鵜飼哲/聞き手・李孝徳)
近代化とレイシズム――イギリス、合州国を中心に(酒井直樹/聞き手・李孝徳)
新しいレイシズムと日本
鵜飼哲×酒井直樹×テッサ・モーリス=スズキ×李孝徳
レイシズムの構築
エティエンヌ・バリバール(訳・佐藤嘉幸)
用語解説
参考文献
著者
鵜飼 哲(うかい さとし)
一橋大学名誉教授。著書に『抵抗への招待』(みすず書房)、『償いのアルケオロジー』(河出書房新社)、『応答する力』(青土社)、『主権のかなたで』(岩波書店)など。
酒井 直樹(さかい なおき)
コーネル大学教授。
著書に『過去の声』『希望と憲法』(以文社)、『死産される日本語・日本人』(新曜社)、『日本/映像/米国』(青土社)など。
テッサ・モーリス=スズキ(Tessa Morris-Suzuki)
オーストラリア国立大学教授。
著書に『日本の経済思想』『過去は死なない』『自由を耐え忍ぶ』(岩波書店)、『辺境から眺める』(みすず書房)など。
李 孝徳(り・たかのり/イ・ヒョドク)
東京外国語大学教授。
著書に『表象空間の近代』(新曜社)。
訳書にG・M・フレドリクソン『人種主義の歴史』(みすず書房)など。