カタストロフからの哲学──ジャン=ピエール・デュピュイをめぐって
渡名喜庸哲、森元庸介 編
世界中で猛威を振るう気候変動にともなう災害の数々、2011年の震災による福島原子力発電所の崩壊、リーマン・ショックによる世界経済の危機……現代文明は、未聞の人的破局に当面しはじめている。
本書は、われわれ人類がその危機にどのように向き合えばいいのかという問いについて、フランスの思想家・ジャン=ピエール・デュピュイによる「カタストロフ」をめぐる考察をとおして、国内の4人の論者が応答する。知と行為のループを作り直し、われわれの未来を確保するために。
目次
序 〈破局〉に向き合う思想―― J=P・デュピュイ『聖なるものの刻印』から(西谷修)
1 J=P・デュピュイとカタストロフ論的転回(渡名喜庸哲)
1 「さまざまなカタストロフの時代」
2 リスク論からカタストロフ論へ
3 運命論的カタストロフ論から賢明なカタストロフ論へ
2 デュピュイの科学哲学と破局論―― システム論から出発して(中村大介)
序論
1 デュピュイとシステム論
2 破局論の時間性
3 破局論――〈事情に疎い者〉の形而上学
結論
補遺――デュピュイ(及び自己組織化)とエピステモロジーの関係についてのノート
3 救済の反エコノミー(森元庸介)
あとがき
ジャン=ピエール・デュピュイの著作一覧
編者
渡名喜 庸哲(となき ようてつ)
1980年、福島県生まれ。パリ第7大学博士課程修了。現在、慶應義塾大学商学部准教授。著書:エマニュエル・レヴィナス『レヴィナス著作集1:捕囚手帳ほか未完著作』(共訳)、法政大学出版局、2014年。
合田正人ほか『顔とその彼方:「全体性と無限」のプリズム』(共著)、知泉書館、2014年。
訳書:ジャン=リュック・ナンシー『フクシマの後で:破局、技術、民主主義』以文社、2012年など多数。
森元 庸介(もりもと ようすけ)
1976年、大阪府生まれ。パリ西大学博士(人文学)。現在、東京大学大学院総合文化研究科准教授。
訳書:ジャン=ピエール・デュピュイ『経済の未来』以文社、2013年。
ジョルジュ・ディディ=ユベルマン『ニンファ・モデルナ』平凡社、2013年。
ジャン=ピエール・デュピュイ『聖なるものの刻印』(共訳)以文社、2014年など多数。