具体性の哲学──ホワイトヘッドの知恵・生命・社会への思考
森元斎
生命力溢れる具体的なものの哲学
アインシュタインの相対性理論、そしてベルグソンの生成という観点を抱合した〈抱握〉という概念を視座に、難解といわれ続けたホワイトヘッドの『過程と実在』を鮮やかに読み解く。また、その解読を踏まえ、ジル・ドゥルーズや、ドゥルーズとホワイトヘッドに触発されて議論を展開しているシャヴィロとハーマンなどの研究を参照し、〈主体性〉と抱握、生成のテーマを通じ、たとえば、現代の資本主義が、放射性物質が、有機水銀が私たちの生をむしばむとき、具体的な生の営みの何たるかを問う。
目次
第Ⅰ部 具体的なもののほうへ
1章 ホワイトヘッドとラッセルにおける空間論の交差と乖離
2章 ホワイトヘッドと相対性理論
3章 経験の雫
4章 不共可能性のほうへ
5章 実在について
第Ⅱ部 形而上学のほうへ
1章 生成と主体
2章 抱握について
3章 具体性の科学から概念の自由で野性的な創造へ
第Ⅲ部 生成のほうへ
1章 現実的存在とはなにか
2章 生成消滅の形而上学
第Ⅳ部 アナキズムのほうへ
1章 具体性の知恵
2章 知恵と生
3章 アナキズムのほうへ、おもむろに
あとがき
ホワイトヘッド参照文献
欧語参照文献
邦語参照文献
著者
森 元斎 (もり もとなお)
1983年東京生まれ。中央大学文学部卒業、大阪大学大学院人間科学研究科博士課程修了。博士(人間科学)。現在、長崎大学大学院学域人文社会科学域(多文化社会学系)/多文化社会学部 准教授。専攻:哲学、思想史。
著書に、『アナキズム入門』(ちくま新書、2017年)。
共著に、『VOL エピステモロジー』(以文社、2011年)、『被爆社会年報』(新評論、2013年)、『「はだしのゲン」を読む』(河出書房新社、2014年)、『半島論――文学とアートによる叛乱の地勢学』(響文社、2018年)など。
共訳書に『ギリシア デフォルト宣言』(河出書房新社、2015年)など。