複数性のエコロジー──人間ならざるものの環境哲学
篠原雅武
モダニティの終焉からエコロジカルな時代へ
地震、原発問題、無差別殺人、自殺……現在、われわれが感じるこの「生きづらさ」とはなんなのか? 「エコロジー」概念を刷新し世界的な注目を集める思想家ティモシー・モートンは、現代人の生きる空間そのものが「うつの空間」と化しているという。都市空間の「荒廃」を問い続け、ヴェネチア・ビエンナーレ日本館展示にもかかわるなど精力的な活動を続ける著者が、モートンと直接に対話しながら辿り着いた、自分への配慮と、ヒト・モノを含む他者との結びつきの環境哲学。……「人間が、人間だけで生きていることのできていた時代が終わろうとしている」。
※巻末には日本初公開となるティモシー・モートンのインタビューを収録。
目次
序章
第1章 アンビエント・エコロジーへ
第2章 荒廃のエコロジー
第3章 「もの」のエコロジー
第4章 幕張ダークエコロジー
第5章 死んでゆく世界と一緒にいること
第6章 内的空間へ
終章
ティモシー・モートン・インタビュー2016
注解
謝辞
著者
篠原 雅武(しのはら まさたけ)
1975年生。社会哲学、環境学専攻。1999年京都大学総合人間学部卒業。2007年京都大学大学院人間・環境学研究科博士課程修了。
著書:『空間のために 遍在化するスラム的世界のなかで』(以文社、2011年)
『全-生活論 転形期の公共空間』(以文社、2012年)
『複数性のエコロジー 人間ならざるものの環境哲学』(以文社、2016年)
『人新世の哲学』(人文書院、2018年)など。