増補 明治思想史──近代国家の創設から個の覚醒まで
松本 三之介 (著)
明治150年に贈る〈明治思想通史〉の決定版!
国家と個人をめぐる思想の動態を、明治という時代の通史として描き出した1996年刊の名著の復刊。旧版でも大きなテーマの一つであった「個の覚醒」について大幅な加筆を付した「増補版」として蘇る。
増補した補論「夏目漱石の個人主義――思想の構造と特質」は、執筆枚数100枚に及び、専ら小説家として受容されてきた夏目漱石について、「私の個人主義」「現代日本の開化」『文学論』など、文明批評的な作品を中心に、漱石の思想的な側面を多岐にわたって分析した画期的な論考である。
目次
序 維新前夜の思想
1 「乱世的の革命」
2 新しい国家構想を求めて
3 啓蒙的知識人の課題
4 自由民権の思想
5 憲法制定の思想像
6 教育勅語をめぐる思想の相克
7 平民主義・国粋主義・国民主義
8 「天下国家」から「生活」への視座の転換
9 思想としての日清戦争
10 労働運動と国民国家
11 初期社会主義の行動と思想
12 自我の鼓動
13 苦悩する個――藤村操の投身自殺
14 明治の終焉―乃木将軍の殉死
補論 夏目漱石の個人主義――思想の構造と特質
あとがき
増補版あとがき
明治思想史年表
人名索引(略歴付)
著者
松本 三之介(まつもと さんのすけ)
1926年茨城県生まれ。1948年東京大学法学部卒業。
現在、東京大学名誉教授。
著書に
『天皇制国家と政治思想』(1969年、未來社)
『国学政治思想の研究』(1972年、未來社)
『近代日本の知的状況』(1974年、中央公論社)
『近世日本の思想像 歴史的考察』(1984年、研文出版社)
『明治精神の構造』(1993年、岩波書店)
『明治思想における伝統と近代』(1966年、東京大学出版会)
『明治思想史 近代国家の創設から個の覚醒まで』(1996年、新曜社)
『吉野作造』(2008年、東京大学出版会)
『近代日本の中国認識 徳川期儒学から東亜協同体論まで』(2011年、以文社)
『「利己」と他者のはざまで 近代日本における社会進化思想』(2017年、以文社)