Contentsを更新しました。今回は、前回のコロナ禍への発言(「魔神は瓶に戻せない」)からさらに一歩踏み込んだ、グレーバーによる「経済とはそもそも何か?」とでも題せそうな、非常に示唆に富んだ論考の訳出となります。
 前回の記事で、「魔神を瓶に戻そうとするなら、大変な忘却の作業が必要になる」とグレーバーが語っていたように、私たちはコロナ禍を経て、すでに「ヴェール」の奥(社会の真の姿?)を知ってしまった──。こうした中で「経済を再生させよう」などという号令を耳にしても、誰もそれを真に受けることができない、もはや以前とは比較にならないほどに、政治=経済の腐臭に敏感になってしまっており、今後おそらく進められる「忘却」へ向けた大々的なキャンペーン程度で果たしてそれを覆い隠すことができるのか……いずれにしても「未来はほんとうは、わたしたち次第なのです!」(「魔神は瓶に戻せない」より)というグレーバーの言葉がより心に響いてきます。
 
 今回も、日本語への訳出を快諾してくれたD・グレーバーと、短時間で非常に質の高い訳文に仕上げてくださった片岡大右氏に厚く御礼申し上げます。本当にありがとうございました。