カントとその先行者たちの哲学──西洋近代哲学とその形成および関連論考
鈴木文孝
ガリレオ、デカルト、カントの〈哲学すること〉の営為を辿り、精緻な分析を重ねる本書は、西洋近代哲学史を理解するための貴重な手がかりを与えてくれるだろう。著者が自選した哲学・倫理学の作品集。
目次
はじめに
凡例
第1編 西洋近代哲学とその形成
第1章 「哲学する」ということ
第2章 ガリレオの自然哲学と西洋近代哲学の形成
第1節 ガリレオの自然哲学
第2節 ガリレオの合理的思考を巡って
第3節 ガリレオによる世界像の変革・世界観の革命
第4節 ガリレオと宇宙体系論
第5節 ガリレオの潮汐論とケプラーの潮汐論
注
第3章 デカルトの宇宙論における近代哲学の成立
第1節 デカルトと地動説
第2節 デカルトの円環運動論
第3節 デカルトの円環運動論についてのコメント
第4節 デカルトの宇宙論の哲学史的意義
注
第4章 デカルトの自我論
第1節 自我命題「我思惟す。ゆえに我在り」の定式化を巡って
第2節 『ビュルマンとの対話』に即して
第3節 思惟実体の概念を巡って
第4節 カント解釈との関連において
注
第5章 カントの自我論
第1節 自我の個別性について
第2節 自我の個体性について
第3節 西洋近代哲学の形成とカントの自我論
注
付記
第2編 カント哲学研究論考抄
第1章 共同態の倫理学
1 格率倫理学と共同態の倫理学
2 共同態理論
3 「人格」・「人格性」・「人間性」
4 自然的世界の存在機制
5 諸人格の共同態
結び
注
第2章 コペルニクス的転回
第1節 認識論におけるコペルニクス的転回
第2節 デカルトの自我論からカントの自我論へのパラダイムシフト
注
結び
補遺
著者
鈴木 文孝(すずき ふみたか)
1940年静岡県に生まれる。1963年、東京教育大学文学部卒業。1970年、東京大学大学院人文科学研究科博士課程を学科課程修了にて満期退学。2004年、愛知教育大学教育学部を定年により退職。現在、愛知教育大学名誉教授、文学博士(筑波大学)。
著書
『カント研究――批判哲学の倫理学的構図』(以文社、1985年)
『カント批判――場の倫理学への道』(以文社、1987年)
『倫理の探究』(以文社、1988年)
『共同態の倫理学――カント哲学及び日本思想の研究』(以文社、1989年)
『近世武士道論』(以文社、1991年)
『若き荷風の文学と思想』(以文社、1995年)
『カントとともに―カント研究の総仕上げ』(以文社、2009年)
『永井荷風の批判的審美主義――特に艶情小説を巡って』(以文社、2010年)
『諦めの哲学』(以文社、2011年)
『西洋近代哲学とその形成』(以文社、2013年)
『カントの批判哲学と自我論』(以文社、2015年)
『カント研究の締めくくり』(以文社、2016年)
『増補 カント研究の締めくくり』(以文社、2016年)
『改訂版 諦めの哲学』(以文社、2016年)
翻訳
マックス・シェーラー『超越論的方法と心理学的方法―哲学的方法論の根本的論究』(『シェーラー著作集』14所収、白水社、1976年)